土帝君とは琉球王国時代に中国から招来された土地神、農耕神であり、現在でも沖縄各地で信仰されている。沖縄各地の土帝君信仰は多様であり、その信仰からは地域レベルでの中国的信仰の受容、琉球王府との関係性、近世から現代に至るまでの土地を巡る歴史観を辿れると考える。 本研究では沖縄島と周辺離島で土帝君に関する民俗誌研究を重ねながら、土帝君のルーツとされる土地公との比較を行う。土地公との比較にあたっては、台湾にて歴史的背景を踏まえた現地調査を実施する。そのなかでも本研究は特に現在の祭祀実践に注目し、琉球国時代から現在までの村落の歴史観や民衆レベルでの異文化交流を描き出そうとするものである。 本研究は沖縄の土帝君と台湾の土地公の比較研究を目的とし、民俗誌的記述を試みるものである。土帝君は琉球国時代に中国からもたらされた神であり、土地神としての性質をもつ。その性質上、信仰の様相は多様であり、数も膨大である