木村伊兵衛写真賞のみならず、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ、パリ市芸術大賞と日仏で多くの賞を受賞した写真家・田原桂一さん。 芸術の都・パリでも愛され、尊敬された日本を代表する写真家だ。 しかしその田原さんが、まるで奇跡のような恋愛物語を生き抜いていたことは、ほとんど知られていなかった。 しかもそれは、梨園の妻との「不倫」と言われるものだったのだ――。 今回、林真理子さんが本人への取材をもとに、当事者ふたりを実名で描いた小説『奇跡』を上梓した。 1995年には炭鉱王の妻で美貌の歌人・柳原白蓮の道ならぬ恋を描いた、『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞を受賞、1996年には、人妻の大胆な恋愛を描き、ドラマ化された『不機嫌な果実』がベストセラーとなる。 さらに1998年に妻・夫・娘・愛人たちと様々な視点から不倫を描いた連作集『みんなの秘密』で吉川英治文学賞を受賞した。 林さんはなぜ2022年の今、この