カンパチ船長は海の猫だから、港に着いても船を下りない。内航船の操舵室と居住区を行き来して、船の安全と船員の健康を見守っている。 「めったにニャーって言わない静かな猫なんですよ。内航船というのは国内で貨物輸送をする船で、船員は交代で下船し休暇を取るんですが、カンパチ船長はずっと船内にいます」と人間の船長(こちらが本物です)・まさとさん。寄港地でも船員の誰かが必ず船に残って、カンパチ船長と一緒に留守番する。まさとさんはこの日、ちょうど休暇明け。「外から船に戻るとにおいチェックされるんですよ。これがもう、かわいくてね。あっ、今度はそちらへにおいチェックに行きましたね!」 物静かだが愛想よく、取材者のにおいを嗅いで身をすり寄せる。なんて魅力的な美猫なんだろう(できることなら連れて帰りたい……)。 「カンパチ船長は、船乗りになる前は名古屋のペットショップにいたんですよ。この船が名古屋に寄港したとき、