空中にペンで自由に書いてメモを共有、さらに人の位置を検出する『空気ペンとナビ下駄』がテレビや雑誌などで頻繁に登場したのは、今から10年ほど前のこと。ドラえもんの四次元ポケットのような面白い開発をしていると話題になった研究者は、その後も率いる研究室で着々とユニークなテーマを生み出してきた。それが、椎尾氏だ。料理に合った色の柄を皿に投影、一枚の皿をさまざまに彩る『いろどりん』、フックにかけるだけで洋服を撮影、管理できる『タグダンス』、家庭の様子をオルゴール調の音楽が奏でる『居るゴール』、そして遠隔地の恋人の状態をさりげなく知らせるために置かれた家具、日用品、調度品が同期する『遠距離恋愛システム』……。実世界指向インタフェースで日常生活に密着したユビキタスコンピューティングに挑む椎尾氏は、日本IBMの東京基礎研究所勤務を経て、大学に転じている。 ユビキタスというと、「どこでも使えるコンピュータ」