昨秋、Jリーグ参加18年目にして初優勝を決めた名古屋グランパスの前身は、旧日本リーグのトヨタ自動車サッカー部だ。93年のJリーグ発足に伴うプロ化に際し、トヨタだけでなく、日本リーグを支えてきた企業チームは戸惑いを見せていた。「地域密着」を掲げ、クラブ名称に企業名を入れることを禁じたJリーグの方針に異を唱える企業は多かった。 しかし最終的にトヨタはJリーグ参加に踏み切った。「グランパス支援をトヨタ従業員の士気高揚につなげる関係ではない。一出資会社としての付き合いにする」がトヨタ側の判断。 グランパスがプロとしてスタートするには、企業チームとは異なる価値観の創出が必要だった。 ■サッカー教室も もちろん、今もグランパスがトヨタの多大な財政支援で支えられているのは事実だ。22・5%を出資する筆頭株主で、グループ企業の出資も10社を超える。歴代社長はトヨタグループの役員も兼務し、クラブハウスと練習