10月は大国間の大きな「戦略的」動きがくっきりと見えた月だった。 日米など12カ国による環太平洋経済連携協定(TPP)が、5年半に及んだ難交渉の末まとまった。と、思いきや、中英が7兆円超という経済協力で合意した。中国は英国で原発を建設、国外で初の人民元建て国債発行をロンドンで始める。「一帯一路」と呼ばれる中国の新シルクロード構想と密接につながる動きだ。 TPPが日米を軸とする経済大戦略なら、「一帯一路」は欧州とつながろうとする中国の大戦略だ。 その中国の南シナ海での強引な海洋進出に対し、アメリカが「待った」をかけた。中国が人工島をつくり、12カイリの「領海」を主張する海域に、イージス駆逐艦を送り込み航行させた。中国の有無を言わせぬ海洋進出に抗議はすれども、なす術もなかった近隣諸国は快哉を叫び、溜飲を下げたが、さて、このあとアメリカはどう進むのか……。
