大分市にある大分県立先哲史料館では、現在、大分県が輩出した近世・近代の先哲たちを紹介する常設展が開催されていて、手紙や書物など貴重な資料が展示されています。この中から今回紹介するのが、前野良沢。江戸時代に活躍した蘭学者で、中津藩医を勤めるかたわら、「解体新書」の翻訳に関わるなど、近世日本の蘭学研究に貢献した人物です。 良沢は、小学生の頃両親を亡くし、医者である叔父・宮田全沢(みやたぜんたく)のもとで育ちます。その時「世の中で人がやらないことをやりなさい」と教わったそうです。 良沢が蘭学を学び始めたのは40歳を過ぎてから。そんな彼に大きな影響を与えたのが、蘭学好きとして知られた中津藩主・奥平昌鹿(まさか)でした。早速2人の関係を探るべく、奥平家の菩提寺である中津市の自性寺(じしょうじ)に行ってみることに。自性寺は、奥平氏とともに愛知県から移ってきました。池大雅の南画も多く所蔵されている珍しい