速水さんの近著『フード左翼とフード右翼』(朝日新書)では、日本人の食のスタイルが実は政治意識と結びついているという、非常に新鮮な視点を提供されています。そもそも日本人の政治観をグルーピングするのはかなり難しいと思うのですが、反響はどうですか。 速水:ネットでの反応は早かったです。しかも最初は、反発に近い反応が多かったですね。食の志向で右翼とか左翼とか分類するなんて乱暴じゃないかと。このことがよく表してると思うんですけど、日本人って右とか左とか、リベラルとか保守とか分けられることにすごく嫌悪感を持つんですね。言霊信仰の民族というのもあるのか、レッテル張りを嫌がるんですよ。政治的に自分がどっちの立場にいるかということを表明したがらない。 実際には、これまでは自分の意見を表明するよりも隠す方にメリットが大きかったからだと思います。それと、基本的にはあまり政治的判断をしなくても自然選択的に物事が決