■「憲法季評」 安藤馨・一橋大学教授(法哲学) 政治資金収支報告書の不記載問題に端を発した一連の政治過程は、与党敗北による少数与党への転落という政治状況に落着した。私個人の政治的選好としてはこの結果自…
前々回エントリで紹介したスレッドで予告された通り、アセモグルがトランプ当選の世界への影響について考察したスレッドを起こしている。 And now on global risks. Trump’s effects will not be confined to within the US borders. He will increase uncertainty around the world. My assessment is that his impact may be even more negative globally than nationally. The world is facing global challenges -- climate change, global pandemics, regulation and redirection of AI, and ad
がX(ツイッター)に投稿されている(H/T タイラー・コーエン)。前回エントリでクルーグマンとブランシャールの反応と併せて紹介しようかと思ったが、かなりの長文なのでこれで一つのエントリとしてみる。 This is a repost of my original thread about Trump's election, which has since disappeared. This time I am reposting it is a single message. I feel anxious and saddened by Trump’s election. Years of turmoil and uncertainty await us. I have also come to believe that this is not Trump’s win. It is the
X(ツイッター)上でクルーグマンとブランシャールがトランプ当選に以下のような反応を示している。 クルーグマン https://x.com/paulkrugman/status/1854002222805229896 If this goes the way it seems to be going, a plea: Hold the recriminations. The important thing will be figuring out how to fight the climate of repression, which will begin via preemptive obedience long before the government formally changes hands (拙訳) 今の雲行きで決着するならば、一つお願いがある。非難の応酬はやめよう。重要なの
というNBER論文が上がっている(ungated版が掲載されているシカゴ大サイト)。原題は「Perceived Political Bias of the Federal Reserve」で、著者はPei Kuang(バーミンガム大)、Michael Weber(シカゴ大)、Shihan Xie(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校)。 以下はその要旨。 We conduct a survey experiment with a large, politically representative sample of U.S. consumers (5,205 participants) to study how perceptions of the U.S. Federal Reserve’s (Fed) political stance shape macroeconomic expec
というINET論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Hitler and the German Coal Industrialists: Passing the Keys to A Kingdom」で、著者はKarsten Heinz Schönbach*1。 以下はその要旨。 Ever since the publication of Henry Turner’s German Big Business and the Rise of Hitler, most historians in both Germany and the United States have dismissed the idea that support from German major industry played a key role in bringing Hitler to p
賭け市場でのトランプの勝利確率を他の経済変数とともにVAR分析に掛けたドイツ連邦銀行の2人の研究者による表題のVoxEU記事をMostly Economicsが紹介している。原題は「What financial markets say about the economic implications of a potential Trump election victory」で、著者はSören Karau、Johannes Fischer。 世論調査ではなく賭け市場の結果を使うことでリアルタイムの分析ができ、それによって識別問題を克服できたとのことである。 以下はトランプのオッズが20%上昇した場合(勝利確率の5%ポイント上昇に相当との由)のインパルス応答の結果。 ビットコインは3%以上上昇 トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(DJT)の株価は10%近く上昇 米2年物金利は
というNBER論文をロバート・ゴードンが上げている。原題は「How Do Electoral Votes, Presidential Approval, and Consumer Sentiment Respond to Economic Indicators?」で、著者はRobert J. Gordon(ノースウエスタン大)。 以下はその要旨。 This paper studies the effect of economic indicators on the Michigan Consumer Sentiment Index, Presidential approval ratings, and Presidential election outcomes since 1956. How closely do the indicators predict sentiment, how
Shigeru Ishiba, Japan's prime minister and president of the Liberal Democratic Party (LDP), following the lower house election, at the party's headquarters in Tokyo, Japan, on Sunday, Oct. 27, 2024. Photographer: Toru Hanai/Bloomberg 米政界に「スカラムッチ」という言葉がある。ホワイトハウスの広報部長を10日ほど務めたアンソニー・スカラムッチ氏のことだが、今では短命を意味するようになっている。 日本では、石破茂氏が同様の意味をもたらすようになるかもしれない。戦後の政治を牛耳ってきた自民党の総裁であり、首相でもある石破氏は、自身の任期をこのような限定的な期間で捉え
日本は今、選挙結果の話で持ちきりですから、私のnoteを読んでいる方など誰もいないでしょう。 でもだからこそ、この時間にひっそり書いておきたいと思います。 先日SNS上で、大変高名な国際政治学者の方が 「(この時期に)ウクライナ国内に残っている人は、ほとんど負け組」 とお書きになり、それへの賛否両論が巻き起こっていると理解しています。 私自身は、その「負け組」という言葉がこの文脈で正確に意味するところや、ウクライナの国内に残った方が「負け組」であると判断される根拠などについて、ご本人に直接お伺いしたわけではなく、従って十分に把握しているわけではないことを、まずお断りしておきたいと思います。 もちろん、その方なりのお考えがおありなのでしょう。 その上で、この「負け組」発言そのものや、その発言に憤り、悲しむ人々の反応を見ているうちに、私はある方のある言葉を思い出していました。 「(人は)結局、
ウクライナの首都キエフ郊外のピロゴヴォ村で、正教会のクリスマスを祝うために教会に集まった人々(2022年1月7日、写真:AP/アフロ) (平野 高志:ウクライナ・ウクルインフォルム通信編集者) 2021年秋から、ロシアがウクライナ周辺に兵力を集結させており、すわ更なる侵攻か、と欧米とロシアの間で冷戦終結以降最大の緊張が生じている。これにあわせて、日本語空間でも様々な解説記事が現れているのだが、その中には、事実に基づかない偽情報や誤情報も少なくない。 今回筆者が紹介したいのは、2014年以降、ウクライナへの侵攻、領土占領を続けるロシアが、国際社会の情勢理解や決定を誤らせることを目的に発信している「偽情報(プロパガンダ)」である。 ロシアは、2014年のウクライナ侵攻以降、ロシア・ウクライナ情勢に関して、根幹部分に誤りがあり、それを知りながら読み手・聞き手を騙すために伝える「偽情報」を積極的に
というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Pitfalls of Demographic Forecasts of US Elections」で、著者はRichard Calvo(UCバークレー)、Vincent Pons(ハーバード大)、Jesse M. Shapiro(同)。 以下はその要旨。 Many observers have forecast large partisan shifts in the US electorate based on demographic trends. Such forecasts are appealing because demographic trends are often predictable even over long horizons. We backtest demogra
というNBER論文をアセモグルらが上げている(ungated版)。原題は「Misperceptions and Demand for Democracy under Authoritarianism」で、著者はDaron Acemoglu(MIT)、Cevat Giray Aksoy(キングス・カレッジ・ロンドン)、Ceren Baysan(トロント大)、Carlos Molina(南カリフォルニア大)、Gamze Zeki(ストックホルム大)。 以下はその要旨。 This paper investigates whether enduring authoritarian regimes are in part rooted in the population’s misperceptions about their social and economic costs—as opposed
というNBER論文が上がっている。原題は「China: Autocracy 2.0」で、著者はDavid Y. Yang(ハーバード大)*1。 以下はその要旨。 Autocracy 2.0, exemplified by modern China, is economically robust, technologically advanced, globally engaged, and controlled through subtle and sophisticated methods. What defines China’s political economy, and what drives Autocracy 2.0? What is its future direction? I start by discussing two key challenges autocrac
行方の見えない「ガザ危機」で、これから起こりうる「3つの主要なシナリオ」 4日間の休戦は良い兆しだが ガザ危機の行方が見えない。人道危機が深刻化する一方、戦争の終わりは見えない。4日間の休戦によって、人質の一部の交換解放が行われた。良い兆しではある。だがこれがどのような中期的・長期的な政治的展開につながっていくのかは、依然として不透明なままだ。 現状で、確定的な見通しを出すことは、誰にもできない。ただし、だからこそ、起こり得るシナリオの範囲を見定めながら、将来に向けた布石を打つ、あるいは少なくとも政策的対応をするための準備をとっておくことは、必要なことである。 本稿では、その観点から、可能性の範囲を見定めて、主要なシナリオのパターンを描き出すことを試みる。 シナリオ1:イスラエルの全面勝利 イスラエルとハマスの軍事的な対決が、現在の戦争の基本構図だと考えてみよう。その構図にしたがって軍事的
ハマスによるイスラエル領内での凄惨なテロ攻撃に対して、イスラエルが苛烈な報復攻撃を始めた。ハマス(あるいは「ハマス等テロリスト勢力」)のテロ攻撃は凄惨であるだけではない。ガザ地区住民の生活を犠牲にして、イスラエルの過剰反応を引き出すことを狙った行為だと言わざるを得ない点で、極めて残忍なものだったと言える。 ハマスの勢力は、ガザ地区内でも、海外からの支援の面でも、減退気味であった。暴発的な作戦を行い、イスラエルに過激な反応をさせることによって、あらためて存在感を高めることを狙った行為であったと言える。それに対し、イスラエル政府も、イスラエルとの連帯を表明した欧米諸国も、ハマスの計算通りに過剰反応しようとしているようだ。 イスラエルでは、悪評高い司法改革で、ネタニヤフ首相が支持を失っていたところだった。自らの保身のための起死回生の作戦とすることを狙っているかのような扇動的な態度で、ハマス撲滅の
終わりなき「対テロ戦争」:三つの戦争の構図の泥沼にはまる欧米諸国 ハマスによるイスラエル領内での凄惨なテロ攻撃に対して、イスラエルが苛烈な報復攻撃を始めた。ハマス(あるいは「ハマス等テロリスト勢力」)のテロ攻撃は凄惨であるだけではない。ガザ地区住民の生活を犠牲にして、イスラエルの過剰反応を引き出すことを狙った行為だと言わざるを得ない点で、極めて陰湿なものだった。 これに対してイスラエルが、自らも別の戦争犯罪行為を行うことを辞さない苛烈な態度でガザを攻撃し、地上軍を攻め込ませようとしている。ハマスを軍事的に圧倒することはできるだろう。しかしガザ全体を長期にわたって完全に平穏にして統治することは難しい。パレスチナ問題全体や周辺諸国との外交関係の悪化も避けられないだろう。イスラエルとの団結を示す欧米諸国は、共犯関係に入ることを辞さない覚悟を内外に示して、イスラム圏全域との関係悪化に陥る負の連鎖に
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