自民党が2012年にまとめた憲法改正草案。家族や婚姻の基本原則を定める第24条に「家族の尊重」を盛り込んだ。衆参両院の改憲勢力が3分の2以上を占める現在も掲げ続ける。「個人よりも家族」とも読み取れる文言に「息苦しくなる」「そもそも家族って?」と疑問を投げ掛ける人たちがいる。 「家族が破綻してしまった人は、救われないんじゃないでしょうか」 6年前に就農した明石市の田中景子さん(48)=仮名=は、生き方の多様性が否定されないかと危ぶむ。 短大を卒業してシステムエンジニアに。その後、転職しながら経理や営業のノウハウも身につけた。「40歳になったら起業する」。20代から青写真を描いていた。40歳の直前。「パズルが組み合わさったみたいに『農業』って浮かんだ」 独身だが、事実婚を20年以上続けたことがある。結婚を否定していたわけではないが「起業を考えた時、自分の持つ資源を生かすには、姓が変わる