新型コロナウイルス感染症の対応をめぐり、WHOのテドロス事務局長が「中国寄り」だと批判されている。WHO本部への取材経験もあるNHK「国際報道2020」の池畑修平キャスターが、WHOと中国の「蜜月関係」の原点を検証。そこにはSARSをめぐって両者が舞台裏で繰り広げた激しい攻防があった──。 WHOへの資金拠出停止は危険だが… 初めに断っておくと、新型コロナウイルスのパンデミックが続いている最中に、米国のトランプ大統領がWHO(世界保健機関)は「中国寄り」だと批判して資金拠出を止めたのは、百害あって一利なしだと考えている。 その決定で最も困るのは、WHOのトップ、テドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長ではなく、WHOからの医療支援に切実に頼っている、アフリカなど医療態勢が脆弱な途上国の人々だ。 さらに、途上国で感染が終息しなければ、そうした国々からウイルスの新たな波が米国を襲うリスクも高