「諦めなければ絶対に夢は叶う」なんて嘘は、つきたくない。『プリキュア』シリーズ、田中裕太監督の希望の伝え方【20周年インタビュー】 8年前、「今、世の中はとても厳しく、今を生きる子どもたちは僕自身が子どもだったときほど能天気に未来を考えていられないかもしれない」と語った田中裕太さん(『映画プリキュアオールスターズF』監督)が今、思うこと。
2023年1月20日(金)の公開を目前に控えた映画『アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~』(以下、『未来へのSTARWAY』)。筆者と同様、楽しみにしている『アイカツ!』フアンは多いことでしょう。 『未来へのSTARWAY』は初代『アイカツ!』のお話なので、『アイカツスターズ!』以降のシリーズ作を観ていなくても、問題なく物語を楽しむことができます。 そして初代『アイカツ!』のテレビシリーズ全178話(1話で約24分)と映画3本(長編+中編+短編)の視聴時間は合わせて“約4443分”……これは日数に置き換えると、なんとたったの“3日と2時間3分”です。 つまりいま(※この記事の公開日時)から視聴をはじめても、理論上は公開日になる前にすべてのエピソードを完走することができるのです! この記事は、これから『アイカツ!』の視聴をはじめる方のためのガイドになっています。テレビ
「アニメに携わってきた人生の中で、ご自身のキャリアへ影響を与えてくれた作品は何ですか?」 8月30日公開のアニメ映画『きみの色』の監督を務める山田尚子さんと、本作の主人公・日暮トツ子(CV.鈴川紗由)のルームメイト・八鹿スミカを演じる声優の寿美菜子さんにこの問いを投げかけてみると次のように答えてくれました。 寿「3つあるのですが、そのうちの1つは山田監督と初めてご一緒させてもらった『けいおん!』です。あの時に抱いた安心感は今思うととても貴重なこと。いい体験をさせてもらっていました」 山田「初めて監督をした作品『けいおん!』です。“初めてだから知らないこと”の強みを一度でも味わえたことは後の仕事にも繋がっていると思います」 約15年前(2007年)に放送した同作について、大切な宝物のように語ります。後におふたりが携わるアニメ作品へ大きな影響を受けている理由をお話しいただきました。 また、そん
ナタリー コミック 特集・インタビュー 「ヒーラー・ガール」入江泰浩×高橋諒×松井洋平、新感覚ミュージカルアニメの音が生まれるまで アニメ「ヒーラー・ガール」 PR 2022年6月22日 30分間ほぼ歌いっぱなしの第3話に、度肝を抜かれたアニメファンも多かったのではないだろうか。先日全12話の放送を終えたばかりのオリジナルアニメ「ヒーラー・ガール」は、歌で病気やケガを治す職業“ヒーラー”を目指す少女たちの健やかな成長ぶりを、ミュージカル調で描いた意欲作だ。話すように歌い、歌うように話す彼女たちの日常がテンポよく描かれつつも、医療行為としての歌に向き合うヒューマンドラマとしても楽しめるものとなっていた。 コミックナタリーでは並々ならぬ熱量をもって「ヒーラー・ガール」を作り上げた入江泰浩監督と、作品の要ともいえる主題歌・劇中歌・劇伴を一手に担った音楽の高橋諒、歌詞を担当した松井洋平にインタビュ
1クールに数十本という、とても全部観るとは言いづらい深夜アニメの本数。初手から個人的身の上話で申し訳ないのだが、その中でも継続視聴をする決め手としているのが、「主人公たちの関係性の変化」である。 何も交流がなかった人たちがイベントを経て仲が深まり、呼び方が変わる。そして、友情や恋心が芽生え、さらにイベントが起きていく──そういった意味では、2021年に放送された『SSSS.DYNAZENON』のよもゆめ(麻中蓬と南夢芽)の関係性は最高だった。そんな作品から約1年。また、関係性の発展が気になるアニメが登場した。 それが『リコリス・リコイル』(通称・リコリコ)である。 『リコリス・リコイル』は、『ソードアート・オンライン』『WORKING!!』で知られるアニメーター・足立慎吾の初監督作品にして、銃器を扱う女子高生たち(住民票がない!)のドンパチありな日常もの。 漫画『この美術部には問題がある!
※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。 SFアニメでよく出てくる量子力学や一般相対性理論も理解していないのに、そこから超弦理論までいってしまって、筆者としてはもうほとんどお手上げ状態だったのだが、それでも面白い。そんなひと筋縄ではいかないのが「Sonny Boy」だった。 ある日突然異次元に漂流してしまったクラスメイトの大半がその世界で生きていくことを選び、長良(ながら:CV.市川蒼)と瑞穂(CV.悠木碧)だけがもとの世界へ戻る決断を下し、実際に戻った。そんな最終話を見たあと、そのまま夏目監督を直撃! 数多くの謎や疑問に対し、ひとつひとつていねいに答えていただいた。 「何だかよくわからないけど琴線に触れる」みたいに感じ取ってもらえたら ーー最終話、本当に素晴らしかったです。た
『シティーハンター』×「Get Wild」35周年の日に、『劇場版シティーハンター』の新作制作決定が発表される2022年4月8日、アニメ『シティーハンター』の新作劇場版の制作が決定したことが発表され(公開時期は未定)、SNS上では歓喜の声が飛び交った。さらにエンディングテーマが、この作品には欠かせないTM NETWORK「Get Wild」ということも発表された。35年前の4月8日は「Get Wild」が発売された日でもある。『シティーハンター』は20年ぶりの新作として、2019年2月8日に公開された『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』が、興行収入15億円を超える大ヒットを記録しており、その反響の大きさを受け、今回の新作の制作へとつながった。この時ももちろんエンディングテーマは「Get Wild」だった。作品、楽曲共に35年の時を経ってもその人気は衰えることなく、逆に新
『映像研には手を出すな!』と「プロセス」を描く映像文化2020年1月より放送を開始した大童澄瞳のマンガを原作に、湯浅政明が監督したアニメ『映像研には手を出すな!』。アニメーションづくりにのめり込む3人の女子高生の姿を、高い作画技術と演出によって描いた本作。映画史・映像文化論の研究者・渡邉大輔が、他作品とともに本作を検証しながら、今日に隆盛する「プロセスを描く映像文化」について分析する。 文=渡邉大輔 21世紀アニメとしての『映像研には手を出すな!』 2020年1月からNHK総合で放送されているテレビアニメ『映像研には手を出すな!』が話題を呼んでいる。 本作は大童澄瞳が2016年から連載しているマンガ作品が原作で、近年、精力的に話題作を発表している湯浅政明が監督・シリーズ構成を務めている。物語は、3人の風変わりな女子高校生を主人公に、彼女たちによる自主アニメーション制作活動の奮闘ぶりを描いた
今回もたいへん貴重な取材の機会をいただくことができました...!ご多忙を極める中ご協力くださったボンズさん、東宝さん、製作委員会の皆様に大感謝!そしてヒロアカはアニメも漫画もどっちもおもしろいので未見の方はぜひこの機会に! 【余談】単行本の34巻に「アニメ版特有のアクションのド迫力(←ガチですごい)をどうにか漫画でも表現できないか考えて「コマ割り」を今回工夫してみた」的な作者コメントがあって、しかも、その特別に工夫されたという戦闘シーンを読むとそれがめちゃくちゃに良くて、ああ、こうやってクリエーターたちが刺激しあいながら進化してく作品って最高だな〜〜と思わされるなどしました。みんなすごい......語彙r(いいだ) ▽後編 https://youtu.be/HBiBn6AisU8 ------------------------ ▼ゲストプロフィール 澤貴史 ボンズ撮影部、ヒロアカ
「アイの歌声を聴かせて」というアニメ映画をご存じだろうか。知らない方は、3月11日から期間限定で各種配信サービスでの先行レンタル配信が開始されたので、他のどの映画よりも優先して見てほしい。 (C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会 なぜなら、本作はアニメ映画史を塗り替える、正真正銘の大傑作であるからだ。その証拠に、劇場公開時にSNSでは熱狂的な支持を集めており、複数回鑑賞した上での絶賛はもちろん、Twitterでの愛のこもったファンアート、Tiktokでの全力で推すレビュー動画などが次々に投稿され、さらにファンの熱量は激増していった。1月には、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞にも選ばれている。 本作は2021年10月公開だが、今でもファンは「#細かすぎて伝わらないアイの歌声を聴かせてのここが好き選手権(※ネタバレ注意)」というハッシュタグを付け劇中の好きなシーンをたくさん挙げ
※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。 1クール目(第1話~第12話)は「がまがま水族館」を舞台に、2クール目(第13話~第24話)は「アクアリウム・ティンガーラ」を舞台に、Wヒロインである海咲野くくる(CV.伊藤美来)と宮沢風花(CV.逢田梨香子)を中心とした物語を展開。ただ水族館や生き物を描くだけでなく、夢と現実との狭間で葛藤する彼女たちの人間模様、水族館を取り巻く問題、リアルに描ききった沖縄の風景――その美しくも深い内容に、見た人それぞれ思うところもあったのではないだろうか。 そこでアキバ総研では、「白い砂のアクアトープ」を手がけた篠原俊哉監督にインタビュー。完全オリジナルである本作の立ち上げから、作品に込めた思い、制作秘話まで存分に語っていただいた。 仕事を描きつつも
・トラックにはねられて異世界へ飛ばされる ・現代人がチート能力を手に入れて、異世界で無双する俺ツエー系 ・複数の美少女たちに好意を寄せられてモテモテ といった異世界転移・転生のお約束を重ねながらも、全く違う展開、まったく違う読み味になっていて、きっと驚きを隠せないでしょう。 えっ? それでもゲームメディアの電ファミニコゲーマーで紹介する意味はあるのかって?……大丈夫! SEGAがいっぱい出てきます! 文/かーずSP 3層構造になっている、一風変わった作品設計 『異世界おじさん』の基本フォーマットは、おじさんが映像魔法で投影する異世界の記憶を、たかふみと藤宮さん(たかふみの幼なじみ)がツッコミを入れながら見守る形で進んでいきます。 つまり異世界の冒険をただ描くのではなく、まるでスポーツ中継の副音声や、アニメのブルーレイ特典についてくるオーディオコメンタリーのような形式になっているんです。 お
1980年に放送されたタツノコプロのヒーローアニメ「とんでも戦士ムテキング」が、この秋、「MUTEKING THE Dancing HERO」としてリブートされる。新作の監督は気鋭のサトウユーゾー氏だが、エグゼクティブディレクターを務めるのは、重鎮・笹川ひろし氏。そして、総監督として髙橋良輔氏が名前を連ねている。 今回の「MUTEKING THE Dancing HERO」は、手塚プロダクションとタツノコプロの初めての共同制作となる。サンライズのロボットアニメで知られる髙橋良輔氏が、どうして手塚プロとタツノコプロの最新アニメに参加するにいたったのだろう? ご本人に、お話をうかがってみた。 サンライズでもギャグ物をやろうとしたが、それぞれのスタジオには特性がある ── まず、今回の「MUTEKING THE Dancing HERO」に参加するいきさつを聞かせてください。 髙橋 僕はアニメ業
冲方丁さんのファンタジー小説が原作のテレビアニメ「ばいばい、アース」が、WOWOWほかで7月12日午後11時半から放送・配信される。さまざまな動物の姿の獣人が住む世界に、唯一の人間として生まれた少女・ラブラック=ベルが、大剣を手に自分のルーツを探す旅に出ることを決意し、数々の試練に立ち向かう……というストーリー。人気声優のファイルーズあいさんが主人公・ベルを演じる。原作は2000年に刊行され、“映像化不可能”とも言われてきたが、20年以上の時を経て、テレビアニメが放送・配信されることになった。冲方さん、ファイルーズさんに原作、アニメに込めた思いを聞いた。
そもそもアニメーションとは、絵を動いているように見せ、映像をつくる技法だ。対象にカメラを向けて撮影する実写映像とは異なり、たまたま映り込んでしまうような偶然が入りにくい特性を持つ。作画ないしCGという手法によって、制作者が何らかの意図を持って産み出した画が動く。それがアニメーションという表現技法の特徴だ。 つまり、画面に映っているものは、たとえそれが小さなアイテムであっても、「何故そこにそのアイテムを置いたのか? 持たせたのか?」と、制作者の意図を考えることが、アニメを理解する視点のひとつになるだろう。 2022年10月クールのTVアニメは、まさにそんな視点で楽しめる作品が多い。例えば『チェンソーマン』は藤本タツキの鮮烈な原作漫画を、実写的な画面構成でリライト。『ぼっち・ざ・ろっく!』は、人見知り少女がバンド活動を経て成長していく様子を、意欲的な演出と繊細な作画で表現している。それ以外にも
2020年10月から放送がスタートしたTVアニメ『アサルトリリィBOUQUET』。本作は、1/12アクションドールシリーズ「アサルトリリィ」を原作としており、舞台化や小説化など多彩な展開を見せているメディアミックスプロジェクトだ。 今回AnimeRecorderでは、TVアニメを手掛けるメインスタッフへのインタビューを実施。第1回目となる今回は、佐伯昭志監督に話を伺った。 夢結と梨璃の関係は視聴者をも振り回す ――まず、『アサルトリリィBOUQUET』の監督を務めることになった経緯から教えていただけますか。 佐伯:経緯というと、シャフトの久保田社長からオファーが来たというのと、あとは、TBSの源生プロデューサー(源生哲雄氏)とも、以前から『まほろまてぃっく』で縁があってお話を頂いたのもあります。 『まほろまてぃっく』はシャフトとガイナックスの共同制作でしたが、私は当時ガイナックスのスタッフ
HOMETVアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』柿本広大監督の全話振り返りインタビュー前編。第7話のラストが生まれたのは「各々どんな感情が渦巻くか考えた結果」 『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』柿本広大監督の全話振り返りインタビュー前編。第7話のラストが生まれたのは「各々どんな感情が渦巻くか考えた結果」 2023年6月から9月にかけて放送されたTVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』。「“現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期する」をコンセプトにしたガールズバンド・MyGO!!!!!の物語は、毎週のように波乱が起こり、そのたびにファンの間で議論が巻き起こった。 そこで今回は、本作の監督を務めた柿本広大氏にインタビューを実施。前編となる本稿では、第1話から第7話まで、ポイントとなった部分を聞いた。 いきなり描
ファミ通.comがアニメ業界の気になる人たちへとインタビューする連載“アニメの話を聞きに行こう!”。連載第4回で取り上げるのは、2023年放送予定のアニメ『TRIGUN STAMPEDE(トライガン・スタンピード)』。内藤泰弘氏が描く壮大なSF大作マンガの新作アニメーション作品です。 インタビューを行ったのは、原作者のマンガ家・内藤泰弘氏、監督を務める武藤健司氏、本作の制作を担当するアニメーション制作会社・オレンジ所属のプロデューサー・和氣澄賢氏の3名。ここでしか聞けないお話を、前編・後編に分けてたっぷりとお届けします。 前編となる今回は、内藤先生による『トライガン』連載当時の思い出話や、『TRIGUN STAMPEDE』の企画立ち上げの経緯、今回がアニメ初監督となる武藤氏の知られざる魅力(?)などの話題を掲載。ぜひ最後までお楽しみください。 (前後編の前編。後編はこちら)
ーーラブリーサマーちゃんが参加することになった経緯は? ラブリーサマーちゃん 山田監督のご指名だったそうなんです。光栄なことです。 山田監督 プロデューサーさんから「MVのようなショートフィルムに興味ありませんか?」とお話をいただいて、音楽とアニメというところから始まっているんです。好きなことができそう! こんな企画ができるんだ!という素敵なお話で、ラブリーサマーちゃんとご一緒してみたい!とお話しました。彼女の世界観を絵にしてみたかったんです。これは褒め言葉と受け取っていただきたいのですが、すごく女の子くさく、わがままな感じが歌に出てきていて、それが格好いいし、思いっきり臭いのするガーリーな世界をアニメにしてみたいと感じ、ご提案させていただきました。 ラブリーサマーちゃん まさか!ですよね、高校は軽音部で「けいおん!」ドンピシャ世代ですし、「たまこまーけっと」も歌を全部歌えるくらい好きなの
新型コロナの影響に揺れる9月の東京。早稲田松竹の劇場前には、「今 敏監督 没後十年」の企画に押し寄せた人々が連日の行列をつくった。海外の映画監督にも影響を与えた今 敏の作品とはどういうものだったのだろうか。再びその世界を探る。 ※監督の生前の意向に添い、「今」と「敏」の間を空けてフルネームで表記してあります。 ◆◆◆ 日本を代表するアニメーション監督だった今 敏が急逝したのは2010年。没後10年にあたる今年は、作品のリバイバル上映も各地で行われ、雑誌でも特集が組まれるなど、改めて今 敏監督のクリエイションに注目が集まっている。 今 敏監督は1963年に生まれ、1991年公開の映画からアニメ制作に関わるようになった。1997年に監督となると、10年余りの監督活動のうちに4本のアニメーション映画と1つのTVアニメ、1つの短編を残した。残された監督作は、どれもが趣向を凝らした一級のエンターテイ
2021年6月4日(金)から絶賛公開中の劇場アニメ『映画大好きポンポさん』。原作はpixivに投稿されて人気を博したマンガで、『空の境界 第五章 矛盾螺旋』『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』の平尾隆之監督がアニメ化を手がけました。今回、原作者である杉谷庄吾【人間プラモ】さんに話をうかがう機会を得たので、劇場アニメのこと以外についてもいろいろと質問してきました。 劇場アニメ『映画大好きポンポさん』公式サイト https://pompo-the-cinephile.com/ GIGAZINE(以下、G): 2020年12月にWHAT's IN tokyoに杉谷さんのインタビューが掲載されていました。その中で、『映画大好きポンポさん』がpixivに一挙、しかも無料で掲載されたというインタビュアーの発言に対して、「いわゆる商業誌から無視されつづけたので、ネットで発表するしかなかったのです(笑)」と答えて
――『窓ぎわのトットちゃん』の原作が発表されたのは1981年です。世界中で愛されるベストセラー小説ではありますが、なぜ今、このタイミングで映画化しようと思ったのでしょうか? 八鍬 じつは、僕が初めて原作を読んだのはわりと最近で『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』の作業を終えた2016年頃ですね。ちょうど自分が親になったこともあって、ふと「この子たちが大人になる頃、この社会はどうなってしまうんだろう?」と思ったんです。当時、海外ではシリアの内戦が激化し、国内でも虐待事件が報道されることが多くて、すごく不安でした。僕が普段、手がけている『ドラえもん』シリーズのような、王道のエンタメ作品ももちろん必要ではあるんですけど、もっと現実とリンクしていながら、明るい光が射し込むような作品を作りたいなと感じたんです。そこで原作になりそうな本を手当たり次第に読んでいたときに、たまたま見つけたのが『窓ぎわ
9月5日、キャラクターと会話するタイプのAIチャットサービス「AI lain」が登場しました。ユーザーはアニメ「serial experiments lain」主人公、岩倉玲音(いわくられいん)との会話を楽しめます。利用料金は月額20ドルから。無料で10回まで試用可能です。 serial experiments lainは1998年に登場した、アニメとゲームが同時進行するメディアミックス作品。インターネット時代に揺らぐ個人のアイデンティティーのあり方をテーマにした作品はカルト的な人気を得て、現在でもネットミームとして世界中に知られています。 AI lainは、物語に登場するコンピュータネットワーク端末「NAVI」(ナビ)をイメージした画面上で玲音とチャットができるという、原作に忠実な世界観を再現。音声にも声優の清水香里さんの当時の音声を学習させたものを使用しています。 玲音と会話を進めるに
ネットで大人気を博した漫画をもとに作られたアニメ映画『映画大好きポンポさん』がヒット中です。本作を手がけたのは『劇場版「空の境界」第五章 矛盾螺旋』や『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』、『ゴッドイーター』などを作ってきた平尾隆之監督。本作の制作にどのように取り組んだのか、そして本作のテーマを支えた平尾監督の思いはどんなものだったのか、話をうかがってきました。 劇場アニメ『映画大好きポンポさん』公式サイト https://pompo-the-cinephile.com/ 原作者である杉谷庄吾さんへのインタビューも合わせて読むと「なるほど」と納得の部分があるかもしれません。 連載より単行本1冊分を一気に描くのが「得意距離」という『映画大好きポンポさん』原作者・杉谷庄吾【人間プラモ】さんにインタビュー - GIGAZINE GIGAZINE(以下、G): 映画が公開されるのに合わせて、平尾監督はいろい
2度の映画化も行われた、南 勝久さんによる人気漫画『ザ・ファブル』がアニメ化され、2024年4月から日本テレビ系にて全国放送中です。本作の監督は『太陽の牙ダグラム』『装甲騎兵ボトムズ』『ガサラキ』『FLAG』『幕末機関説いろはにほへと』など、半世紀以上にわたって多彩な作品を世に送り出している髙橋良輔さんが務めています。今回、髙橋監督にインタビューする機会を得たので、本作のことについてはもちろん、「髙橋作品」がどのように生まれているかについて、お話をうかがってきました。 =VAP= TVアニメ『ザ・ファブル』公式サイト https://www.vap.co.jp/the-fable-anime/ 【本PV vol.1】TVアニメ『ザ・ファブル』2024年4月6日(土)24:55より、日本テレビ系にて順次全国放送開始──!! - YouTube 【本PV vol.2】TVアニメ『ザ・ファブル』
忘れられた人々の「声」を拾い集め、それを「物語」として大衆の前で「演じる」こと。アニメ界の鬼才・湯浅政明監督の新作映画『犬王』は、室町時代に活躍した異形の能楽師・犬王(アヴちゃん(女王蜂))と、盲目の琵琶法師・友魚(森山未來)の運命的な出会いを描いた、スペクタクルな音楽活劇となっている。 古川日出男の小説『平家物語 犬王の巻』を原作に、その脚本を野木亜紀子が担当していることも大きな注目を集めている本作。野木亜紀子といえば、『アンナチュラル』、『MIU404』といったテレビドラマのオリジナル作品、さらには映画『罪の声』の脚本などで、「声なき者たちの物語」あるいは「忘れ去られた人々の声」を拾い上げてきた人気脚本家だ。 本作も、「奪われて失われた」者たちを描く。異形の子として生まれて蔑まれた犬王と、幼い頃に父と自らの視力を失った友魚。二人はバディとなって埋もれた平家の物語を大衆に語ることで室町時
『プリパラ』10周年記念のロゴ。前面に押し出されているリボンが、作品の重要なイメージになっている。 女の子向けのゲーム・アニメとして高い人気を誇った『プリパラ』が、2024年に10周年を迎えた。2014年に新たな『プリティーシリーズ』としてスタートした本作は大ヒットし、今でも新作グッズが発売され、様々なイベントが開催されるほど支持されている。また、今年7月には10周年を迎え、8月からは10周年を記念した展示会も開催される予定だ。 ゲームの「み~んなトモダチ!! み~んなアイドル!!」というコンセプトが共感を呼び、プリチケというチケットを通じて友情を深め合う世界観も秀逸であった。そして、個性豊かなキャラクターたちのデザインも高い人気を誇る要因のひとつではないだろうか。 主人公の真中らぁらを筆頭に、世代を超えて愛されるキャラクターをデザインしたのが、ゲーム会社「シンソフィア」に所属するアートデ
――竹中プロデューサーがこの企画を思いついたきっかけは何だったのでしょうか? 竹中 企画の発端だけでいうと13~4年前ぐらいです。メイド喫茶ブームもちょっと下火になりかけていた時期に、秋葉原で等間隔に並んでチラシを配るメイドさんを見て「この距離感に意味を持たせることができたら面白いものになる」と考えたことがありました。そのときはオシャレな映像作品をイメージしていたんですけど、時代を経て、むしろ昭和任侠ものっぽい泥臭い映像のほうが面白くなりそうだなと、イメージが変わっていった結果が現状の『アキバ冥途戦争』という感じです。 ――当時はアニメの企画を考えていた時期だったんですか? 竹中 いえ、そのときに考えていたのは遊技機の企画でした。 ――そこに任侠ものを持ってくるんですね。 竹中 常に思い描いているものとして「なんかワケわかんないけど面白いものを作りたい」というのがあって、『ゾンビランドサガ
『きみの色』のインタビューで、音楽担当の牛尾憲輔が、山田尚子監督のネタバレに対する態度について、こんなことを話していた。 牛尾:山田さんって、映画の話をしていても、結末の話をしても怒らないんですよ。<中略>でも「ここで振り返ったときの画がすごく綺麗でさ」っていうと、ものすごく怒るんです。(※1) 山田監督は、結末をバラされても気にしないが、細部の演出についてバラされると怒る。彼女の最新監督作『きみの色』は、映画に対するそのような姿勢が端的に表れた作品だ。 この作品には、明確な物語のラインがないと言ってしまってもいいかもしれない。あったとしても、3人の高校生がバンドを組み、演奏会で発表するために出会い、頑張るとか、青春の瑞々しさを描いた作品などとまとめられることになる。つまり、大きな全体の物語としては、ごくありふれた、何度も聞き覚えのあるようなものでしかない。 しかし、本作の鑑賞体験は「あり
『劇場版 ポールプリンセス!!』 監督:江副仁美/脚本:待田堂子/CGディレクター:乙部善弘/キャラクター原案:トマリ/アニメーションキャラクターデザイン:櫻井琴乃 /ポールダンス監修:KAORI(STUDIO TRANSFORM)/アニメーション制作:タツノコプロ/原作:エイベックス・ピクチャーズ、タツノコプロ/配給:エイベックス・フィルムレーベルズ poleprincess.jp ©エイベックス・ピクチャーズ/タツノコプロ/ポールプリンセス!!製作委員会 Point ・タツノコプロの発案によるオリジナル企画 ・ポールダンスをしたときに映えるキャラクターデザインを採用 ・ポールダンサーの動きをモーションキャプチャで収録 ・立体的なカメラワークやエフェクトがショーを豪華に演出 個性豊かでかわいらしい主人公たちのデザイン&3Dモデル 本企画を主導したのは、以前からポールダンスの表現の幅に注目
吹奏楽青春アニメ『響け!ユーフォニアム(以下、ユーフォ)』シリーズのTVアニメ第3期『 響け!ユーフォニアム3』が最終回を迎えた。北宇治高校吹奏楽部部長として悲願の全国金賞を目指す黄前久美子の奮闘を中心に描いた今シーズン。さまざまなキャラクターたちのドラマをまじえながら、シリーズの最終楽章として久美子の高校生活3年間を締めくくった。Febriでは、放送を終えたこのタイミングで、シリーズの監督を務め続けた石原立也を迎え、最終楽章に込めた想いを前後編でたっぷりと語ってもらった。後編は、最終話について深掘り。石原監督自ら手がけた絵コンテの秘密にも迫っていく。 ――最終話はシリーズの集大成にふさわしい屈指の名エピソードとなりました。ここまで演奏シーンを封印していた分、ここで思いっきり見せましたね。 石原 ぶっちゃけていうと、演奏シーンは作画のコストが段違いにかかるので、とくにTVシリーズではそう簡
――まずは篠原監督がアニメ『着せ恋』の監督をすることになった経緯を教えてください。 篠原 アニメーションプロデューサーの梅原(翔太)さんから声をかけてもらいました。以前、『キズナイーバー』という作品でご一緒した石田一将(キャラクターデザイン・総作画監督)さんが推薦してくださったんです。スタッフィングは基本的に梅原さんにおまかせだったのですが、副監督の平峯(義大)さんは、気心が知れていて腕のいい演出が必要だと思い、自分から声をかけさせていただきました。 ――原作コミックスを読んだときの印象は? 篠原 読み始めの頃は、率直にいうと「エッチだな」と思いました(笑)。ですが、読み進めていくうちに、海夢と新菜がコスプレに真摯に取り組んでいるところが見えてきて、ふたりの成長など、ドラマ的な部分に魅力を感じるようになりました。原作第2巻(アニメの第4話「これ、彼女のとか?」)にあった深夜に泣きながら衣装
WebNewtype > レポート > 「デカダンス」リレーインタビュー監督:立川譲&シリーズ構成・脚本:瀬古浩司【後編】 「カブラギとナツメは必ず再会させたかった」 TVアニメ「デカダンス」の魅力を掘り下げるリレー連載第18回は、立川譲監督とシリーズ構成・脚本の瀬古浩司さんのインタビューを前後編にわたってお届け! 後編では、物語終盤に込めた想いを語っていただきました。 TVアニメ「デカダンス」より(C) DECA-DENCE PROJECT ――後編では中盤以降のお話を伺えればと思います。まず、カブラギの矯正施設送りからガドル工場襲撃ぐらいまではいかがですか。 瀬古 この辺でよく覚えているのは、いわゆる洋画あるあるですね。刑務所に入れられたらボスみたいなヤツがいるとか、第8話の素体の回収も洋画によくあるケイパーもの(詐欺や強盗を描いた映画のジャンル)のノリで、ストラクチャーの中にカブラギ
才能を結集させて完成した第7話――絵コンテ・作画監督榎本柊斗、演出・松永浩太郎「ダンダダン」最速インタビュー 先日放送を終えたばかりの「ダンダダン」第7話。アクロバティックさらさら(以下、アクさら)がアイラに執着するようになった理由を描いたエピソードですが、原作ファンの期待も大きいエピソードであり、どのようにつくられたのか気になる視聴者も多かったのでは? そんな第7話の絵コンテ・作画監督を手がけたのは、「天国大魔境」や「犬王」、「映像研には手を出すな!」で八面六臂の活躍を見せた新鋭アニメーター・榎本柊斗さん。そもそも彼がアニメ業界入りをめざしたのは、「絵が動いて見える」おもしろさにとらわれたからだそうです。 榎本:大学生の頃に趣味でアニメをコマ送りで観たり、いわゆる作画MADでアニメーターごとの特徴の違いを観たりするようになって、アニメーションに興味を持ち始めたんです。そこからアニメーター
犬王(いぬおう)をご存じだろうか。足利義満の時代にめちゃくちゃ人気があった能楽師だ。世阿弥が美少年だったころ、義満にかわいがられたエピソードをご存じの方は多いだろう。しかし世阿弥が大人になったころ、むしろ義満は犬王のほうを推していたとか。 当時の大衆人気もすさまじく、犬王が出るステージはいつも満員。一目でも犬王を見ようと、近くの屋根にのぼって見る客もいたというからすごい。しかし今、犬王の記録はほとんど残ってないという。そんな謎に包まれた犬王が主人公として歌い踊るアニメが2022年5月28日(土)から全国の映画館で公開されている。 ▲©2021 “INU-OH” Film Partners 監督はアニメ『映像研には手を出すな!』の湯浅政明、脚本は『アンナチュラル』野木亜紀子、キャラクター原案は松本大洋、音楽は『あまちゃん』大友良英、と、人気者たちが名を連ねる。さらに声優は、アヴちゃん(女王蜂
ナタリー コミック 特集・インタビュー イノウエ 3DCGはキャラの心を描けるか? 「ハイスコアガール」の制作・J.C.STAFF、監督・山川吉樹が挑む、“呪い”のラブコメディ「死神坊ちゃんと黒メイド」 アニメ「死神坊ちゃんと黒メイド」 PR 2021年8月5日 放送中のアニメ「死神坊ちゃんと黒メイド」は、単行本の累計部数150万部を突破している、イノウエの同名マンガが原作。触れた生物の命を奪ってしまう呪いをかけられた主人公・坊ちゃんと、そんな彼を献身的に支えるメイド・アリスを描くラブコメディだ。アニメでは「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」「リトルバスターズ!」などで知られるJ.C.STAFFがアニメーション制作、山川吉樹が監督を務め、CG制作を小学館ミュージック&デジタル エンタテイメント(SMDE)が担当。押切蓮介原作による3DCGアニメ「ハイスコアガール」シリーズ
若くて僕が名前を知らないような方に監督をやってほしい ──制作にあたって先生とスタッフ間でかなり綿密にやり取りをしたと聞いているのですが、初めてお会いした際どのようなお話をされたのでしょうか。 久保帯人 初めて会ったとき……僕の仕事場に来ていただいたんですよね。確か去年の5月頃でしたっけ。 川野達朗 そうですね。第1話のネームをいただいたあとくらいに。ただそのときって、まだ制作も進んでいなかったのでそこまで突っ込んだ話をしたわけではないんですけど……。あっ、でもニニーたちのマントの話はしましたね。「マントは全部手描きします」って。 久保 ありましたね。ニニーたちのマントはシェパードチェック柄なんですけど、マンガでは模様だけを別で作っておいて、マントの形に沿わせて模様を貼る形で進めようと思っていたんです。「アニメもそういうやり方で作るのがいいんじゃないですか」って話をしたんですけど、「それだ
戦わないプリキュアだからこそ描けた、あなたに「大好き」を伝えるプリキュア。 「わんだふるぷりきゅあ!」は新しい時代のプリキュアを描きつつも、「プリキュアが存在する意味」をクリティカルに表現した作品だったのではないかと思うのです。 ※注意:本文中に終盤の展開のネタバレがあります 最終回を迎えた「わんだふるぷりきゅあ!」 kasumi プロフィール プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。 これまでのプリキュア連載一覧 「わんだふるぷりきゅあ!」最終回 2025年1月26日、「わんだふるぷりきゅあ!」が最終回を迎えました。 同作は犬や猫がプリキュアになる
小説や漫画などの原作を持たないオリジナル長編アニメ映画「グッバイ、ドン・グリーズ!」が2022年2月18日(金)から劇場で公開されています。本作を手がけるのは、「ノーゲーム・ノーライフ」や「宇宙よりも遠い場所」のいしづかあつこ監督。少女たちが南極を目指す姿を描いたオリジナルアニメである「宇宙よりも遠い場所」に続いてのオリジナル作品をいかに作ったのか、そして人々を引きつける作品を生む源泉は何なのかを探るべく、いしづか監督に話をうかがってきました。 映画「グッバイ、ドン・グリーズ!」公式サイト https://donglees.com/ GIGAZINE(以下、G): いしづか監督は本作では脚本も担当されています。これまでの作品と比べてやることの変化は大きかったですか?それとも、これまでと同じ感覚で進められましたか? いしづかあつこ監督(以下、いしづか): 脚本を書くとなると、エンターテインメ
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