1988年にソロ・デビューして以来、シンガー・ソングライターとしてハイクオリティなソロ・アルバムを発表する一方、様々な世代 / ジャンルとのバンド活動やコラボレーションを精力的に行ってきた高野 寛。コロナ禍以降、Bandcampでリリースされた作品は歌ものからアンビエント、ポスト・ロックまで、さながら自身の多種多様な音楽の引き出しを開けているかのようであり、驚いた人も多いことだろう。しかし考えてみれば、彼はYMO(YELLOW MAGIC ORCHESTRA)に影響を受けて宅録を開始したYMOチルドレンのひとり。自身初となる全編打ち込み主体のニュー・アルバム『Modern Vintage Future』を聴けば、それが極めて自然な流れ(というより、もともと内包されていたもの)であることがわかるはずだ。 高野(以下 T)が多大な影響を受けたYMOを軸に、自身の音楽家としてのこれまでを綴った書