辻潤全集 (第2巻) 作者: 辻潤 出版社/メーカー: 五月書房 発売日: 1982/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る だから、人のために物を書いたことなどは殆どない、同時に、自分が感じないことや考えないことを書いたこともない。要するにあまり融通が利かな過ぎるのだ。――この自分の頭は――自分の頭で考えている理屈からいうと、人のためにも、犬のためにも、豚のためにもなんのためにも書いたッて一向差し支えないとは思うのだが――さて、なにかしら書く段になると、自分の勝手気儘なことしか書けないのだ。幸い僕の書くものを喜んでくれる人があるから、買ってくれる雑誌社もあるわけだが、もしもそれがなかったら、自分はとうに餓死しているに相違ない。 「ものろぎや・そりてえる」 ネタバレをすると、結果的に辻潤は餓死している。もちろん食糧難の時代という背景はあるにせよ、筋を通している。筋を通す人間は