事実上の物別れに終わった米朝首脳会談を受け、日本政府内では拉致問題解決の行方が一層不透明になったとの見方が出ている。 北朝鮮は「千載一遇の機会を逃した」(崔善姫外務次官)などと米国批判を始めており、非核化をめぐる米朝交渉は難航が予想されるためだ。 安倍晋三首相は2月28日夜、トランプ米大統領から電話で、拉致問題について初日の会談で提起し、夕食会で「真剣な議論」を行ったと報告を受けた。菅義偉官房長官は1日の記者会見で「2回も首相の思いを伝えていただいたのは大きい」と指摘。ただ、今回の会談が拉致問題に与える影響を問われると、「予断を持って答えるのは控えたい」と言葉を濁した。 日本政府が楽観的になれないのは、米朝交渉の行方が読み切れないことが一因だ。日朝交渉入りには、米朝交渉のある程度の進展が不可欠というのが、これまでの共通認識。しかし、北朝鮮は米朝会談に関するトランプ氏の説明内容を否定するなど