中国に「居民委員会(居委会)」と呼ばれる組織がある。日本で言えば町内会とか、町の自治会みたいな位置づけの組織だが、もちろん社会主義体制なので、その性格は大いに異なる。いわば中国という国の政策を実行するための、住民の代表で組織された実働部隊である。今回の新型コロナウイルスに感染症の蔓延で、事実上の「全国民自宅軟禁」の政策を実行し、感染の拡大阻止を実現するうえで最も大きな役割を担ったのが、この「居委会」だと思う。 居委会は、中国という国の「いざ」という時の底力、権力体制のすさまじさを、まざまざと見せつけた。表舞台ではあまり目立たないが、この居委会を手がかりに、中国社会の仕組みについて今回は考えてみたい。 田中 信彦 氏 BHCC(Brighton Human Capital Consulting Co, Ltd. Beijing)パートナー。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科(MBA)
