高校の恒例行事、24時間の歩行祭。最後の高校3年生の歩行祭で、 歩いて歩いて、そして何かが動いていく。 貴子と融、わだかまっている二人の歴史が今動き出し、そして始まる。 あまりにも有名すぎる、第二回本屋大賞受賞作。 読書というのは、歩行祭に似ている。 楽しみにして準備して、例えば図書館で予約したり文庫を買ったり、 そんなことをして、読む場所を整えて時間を作って読みはじめて、 そして一瞬、現実を忘れてその世界に没頭する。 そして読み終わって顔を上げて、また現実に戻る。 その一瞬、その本を最初に読んだ、そのときの感動は、二度と訪れない。 何度読み返しても、最初の感動を追体験できることはない。 一瞬の出会い、だからこそ貴重で大事な、彼らとすごした時間たち。 おおげさかな。私はいつもそんな気持ちで、本を読んでいる気がする。 何が残念って、この本を読み終わってしまったことが、だ。 もうあの、楽しみに
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