第3次最高裁決定に至るまでの都合11の裁判体(確定審3、第1次3、第2次3、第3次2)のうち3つの裁判体が無罪心証を形成した大崎事件に対し、それでも再審開始を拒んだ最高裁決定については、既に様々な批判が向けられている。 決定文は最高裁判所ウェブサイトに公開されているので、その閲読の限りで言うと、(1)確定審の既判力を金科玉条の如く祭り上げた形式的判断であり、思考停止以外の何物でもないこと、及び、(2)証拠を無視して直感的な筋書きを真実とするという、(善解するにしても)(その歪んだ価値観に基づく)結論の妥当性に固執して法律を無視するという近時の傾向性がありありとしているとの印象である。 まず(1)について。 第3次最高裁決定は要するに、死因や死亡時期に関する新鑑定が、その鑑定資料の限界故に証明力に於いて不足しているとする。なるほど新鑑定は遺体を直接見分できておらず、12枚の写真と解剖医の観察