覆う空気 ムラ社会の少女 モノ言い続ける 2015年1月9日 朝刊 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015010902000136.html 富士山を背に田畑が広がる静岡県旧上野村(現富士宮市)。戦後間もない一九五二年、高校二年の石川皐月(さつき)が新聞社に出した一枚のはがきで、村の名は全国に知られることになった。記されていたのは、国政選挙での替え玉投票の疑惑。地域のまとめ役が入場券をおおっぴらに集めて回っていた。村では多くの逮捕者が出た。憎悪の的となった石川一家は追われるように村を出た。 ◆投書で村を追われ 六十年余たった今も、旧村民は口を閉ざす。事件について尋ねると、農作業中の年老いた男性は「蒸し返すのか」と鍬(くわ)をぎゅっと握った。別の古老は「村の恥をさらした家だ」とすごんだ。 皐月と幼なじみという小林要(78)