いわし雲が一面に広がった17日午前7時。自民党組織運動本部長で元総務相の菅義偉(衆院神奈川2区)は、横浜市の市営地下鉄上永谷駅入り口に立った。 「無駄削減の努力もせずいきなり大増税を国際公約する民主党って一体何なんでしょうか…」 こう訴えながら通勤客にビラを手渡す。受け取る人はまだ少ないが、「頼みますよ!」と声をかけられ菅は「おやっ」と思った。 「そういえば政権交代前後は岩壁に向かって話しているようだったな。このままじゃいけないとみんな考え始めている。それにどう自民党が応えていくか…」 秋田県から集団就職で上京し、段ボール工場で働きながら大学を卒業した。衆院議員秘書、横浜市議を経て平成8年に衆院議員に初当選。故梶山静六元幹事長らにその行動力と突破力を買われ、順調に出世の階段を上ってきた。 だが、21年秋、自民党は下野した。これまで培ったノウハウを政策に生かすチャンスはついえた。東日本大震災