北海道・音威子府(おといねっぷ)村の名産である「音威子府そば」は、知る人ぞ知る名物そばだ。まるでイカ墨を練り込んだかのような強烈な見た目で、強いそばの香り、コシのある食感と喉越しといった特徴で、食べる人を魅了してきた。 「日本最北の地で食べられるそば」として知られていたが、昨年8月末、村内唯一の製麺所が廃業し、“絶滅の危機”に瀕する。しかし音威子府そばを愛する関東の飲食店の店主らが、新たにレシピを開発。そして復活を遂げた「新・音威子府そば」を、現在、音威子府村内で唯一提供しているのが『めしや満腹IKERE』(以下『IKERE』)だ。同店代表・竹本修氏に、再スタートを切った音威子府そばへの思いを聞いた──。 駅そばの店主が亡くなり、製麺所も廃業 音威子府そばは、地元産のそばを使い「挽きぐるみ」という独自の製法によって作られる。「挽きぐるみ」とは、通常は捨てるそばの殻を捨てることなくそのまま挽