笑顔で数学を教える高橋一雄さん。新潟へ来るたびに少年たちの学力が伸びる実感が何よりうれしい=新潟県長岡市の新潟少年学院で2018年6月25日、渡部直樹撮影 鉄格子のはまった窓から初夏の日が差し込む。6月25日、新潟県長岡市の山あいにある少年院「新潟少年学院」の教室で、16~19歳の少年13人が一点を見つめていた。視線の先のホワイトボードに並ぶのは、高校の数学で学ぶ2次方程式だ。「これ、やってみようか」。外部講師の数学教育者、高橋一雄さん(57)に名前で呼ばれた少年が、前に出て問題を解き始めた。 少年は特殊詐欺で現金を受け取る「受け子」を繰り返して逮捕され、初めて少年院に入った。中学卒業後、高校へは行かず、勉強とは無縁。2カ月前まで分数計算もできなかった。「今日、調子悪いっす」「自信を持って間違えてください」。教室がどっと沸いた。何とか解答を導き、「パーフェクト!」と高橋さんに褒められると、