月の内部に含まれている水は、数十億年前に彗星(すいせい)が衝突してもたらされた可能性が高いことが分かった。北海道大と米国の研究チームが米アポロ宇宙船が持ち帰った月の石に含まれる水を詳しく分析。地球の水よりもハレー彗星や百武彗星などの水に近かったという。9日付の英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス電子版に掲載された。 月は45億年前、地球に火星ほどの大きさの天体がぶつかったとき、地球からちぎれてできたと考えられている。 ところが、北大理学部地球科学科の圦本(ゆりもと)尚義教授らによる月の石の分析では、水に含まれている水素と重水素の比率が地球の水と明らかに違っていた。月の形成時に地球にあった水は、地球の重力が大きく、多くが地球に残ったらしい。月が形成直後のどろどろに溶けていた時代に、多数の彗星が衝突し、水が取り込まれたという。(東山正宜)