東京の神田川を眺めていると、たまに地下トンネルへの入口のような穴がぽっかりと開いていることがある。分水路の入口だ。 分水路というのは地面の下に作られた人工の川で、道路で言うとバイパスのような役割があるらしい。つまり、台風などで増えた水量を吸収し、洪水をふせぐ目的がある。 ただし、いまはそんなことはどうでもいい。 あのまっくらな穴の中に入ってみたい。 なんだか洞窟の探検みたいでおもしろそうだ。中はどんなふうになっているんだろう。そして出口はどこに抜けているのか? 長年の夢を実現してきました。 (text by 三土たつお) プロの方の船に乗せてもらう じつは、神田川の分水路には以前ちょっとだけ入ったことがある。 個人的に、神田川を手こぎのゴムボートで遡ったことがあって、その際に入口から中をのぞいてみたのだ。水路は奥のほうまでずっと続いていて、しかも明かりがまったくないので本当にまっくらだった