1941年9月、日本は日中戦争を行ないつつ対米戦争に踏み切るという、勝ち目のない二方面作戦を選択した。これは陸軍の強硬派だけが主張し、実行したためであると多くの日本人が考えている。しかし、事実は違うと作家・井沢元彦氏は言う。週刊ポストの連載「逆説の日本史」から、日本を戦争に引きずり込んだ「戦犯」の正体を解き明かす井沢氏の解説をお届けする。 * * * 戦後日本ではしばらくそういう教育をしていた。つまり多くの国民は戦争に反対していたが、軍部の強硬派が満州事変など次々に既成事実を作って日本を戦争に引きずり込んだ、というストーリーを歴史上の事実として教えていたのである。 そうした側面もまったくなかったとは言わないが、もし日本を無謀な戦争に引きずり込んだ人間を「戦犯」あるいは「戦争犯罪人」と呼ぶならば、陸軍の強硬派に匹敵する、いやある意味でそれ以上の「戦犯」がいる。朝日新聞あるいは毎日新聞(東京日
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