ある昼下がり。平日にもかかわらず、秋葉原駅前の交差点では歩道からはみ出そうなほどの人が青信号を待っている。聞き慣れない言葉が飛び交い、大きなキャリーバッグを引きずる歩行者もちらほら見掛ける。 駅前の「家電」量販店に並ぶのは宝飾品に化粧品、医薬品と家電製品の存在感は薄い。都内でもあまり目にすることのない鉄瓶ですら、ここでは20種類ほど並んでいる。「お客さんは中国・韓国からがほとんど。日本人はあまり来ません」。そう話す駅前の家電量販店の従業員も、中国から出稼ぎに来た身だ。 電気街からサブカルチャーの拠点を経て、最近では訪日観光客による「爆買い」に沸く秋葉原。文化の発信源たる街に対して、ある業界だけは少し異なった視線を送っていた。一等地にも関わらず、再開発が進んでいない――。 三十年来の再開発が、いよいよピークを迎えようとしている。 存在感が薄かった秋葉原の転換点 今や電気街の代名詞的存在となっ