1970年代初頭、アメリカでブラックスプロイテーションと呼ばれる娯楽映画のジャンルが誕生した。 代表作は『シャフト』(1971)、『スーパーフライ』(1972)など。舞台は都市部のゲットー。多くで麻薬の密売人やポン引きを生業にする黒人男性が主役を張り、暴力や性的な描写が目立つ。白人は間抜けな悪人や腐敗した警察官役で、最終的には黒人にとっちめられる。 当時、観客の黒人たちは「ついに自分たちが主人公の映画が誕生した」と歓喜したという。観ればスカッとする作品が人気を博し、ハリウッドは新しい鉱脈を発見したと言われた。 黒人たちを喜ばせ、大儲けしていたのはハリウッドの白人層 ブラックスプロイテーション映画は、そのファッションや音楽、魅惑的なキャラクターが現代のアメリカ文化にも多大な影響を及ぼした。スクリーンに登場する機会を黒人俳優に与えたことも間違いない。しかし、このジャンルはほどなくして姿を消すこ
