母性神話 榊原 洋一 小児科たより本号で「ガーナ」について一文を書きながら、またここに一文をものそうとするなんてけしからん、とお叱りをうけそうだが、本来ここに寄稿することになっていた人が締切になっても書けない、ということで、普段から原稿を書くことの早い(ということは内容のない文章を書いている?)わたしに何か穴埋めをするようにということでこうして書いている。お許しを。 さてタイトルの母性論争は、育児にかかわっている人なら多分ご存じのことと思う。ことの発端は、最近マスコミをにぎわせている「キレやすい17歳」の起す凶悪事件、学級崩壊と、増加の一途をたどる小児虐待あたりにあるのだと思う。学級崩壊を起しているクラスで、崩壊の引き金になっているとされる子どもたちは、おしなべて「耐性」がなく、基本的生活習慣のついていない子どもたちである、という。なぜ昔はいなかったそういう子どもたちが増えてきた