第30回 スクローリングの小細工 2009年4月24日 (これまでの増井俊之の「界面潮流」はこちら) スライダやスクロールバーのようなGUI部品は広く便利に使われていますが、これらの由来や発明者についてはあまり知られていないようです。スライド式の可変抵抗器は昔から使われていましたから、計算機上でもこのような部品を利用したくなる気持ちは理解できますが、スクロールバーのような動きをするものは現実世界に存在しませんから、誰がどのようにしてこのようなGUI部品を発明したのかは興味深いところです。 これらの部品は、大きなテキストの一部を表示したり数値を調整したりするのに便利ですが、巨大なテキストを扱ったり値を微調整したりすることは簡単ではありません。 たとえば縦の長さが500ドットのスクロールバーを利用する場合、ノブを1ドット移動したときは表示を1/500ほど移動させる必要がありますから、5万行のテ