米国発の「市場主義経済学」では、いまの危機は解決できない! 『経済学の犯罪』著者・佐伯啓思インタビュー 米国発のリーマンショックからEU圏の国家破綻危機と、いまだに解決の糸口が見えない世界金融危機。長期間デフレ状態が続く日本。こうした経済の大問題の背景には、私たちの考えを規定している経済学そのものに問題があるからだ……。 経済学そのものにメスを入れ、私たちに思考の転換を迫る新刊『経済学の犯罪』(8月17日刊行)。その著者である佐伯啓思・京都大学教授に話を聞いた。 「正しい」経済学が人の思考を支配する ── 今回の本はタイトルからして刺激的ですね。 佐伯 といっても、別に誰か特定の経済学者を批判しているというわけではありません。今回の本では、いまだに収まる気配のないグローバル金融危機、日本の長引くデフレなどの背景として、ここ30年近く世界で主流となり、各国の経済政策、人々の経済に対する考え方