二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代燃料として注目されるグリーン水素。バルセロナを中心としたスペイン・カタルーニャ州は、石油化学や自動車産業で培った技術などでグリーン水素供給網を構築し、欧州の脱炭素社会化をリードしたい考えだ。そこで関係者が注視するのが日本企業の動向。同州幹部は日本の水素技術に「世界でも有数だ」と期待を寄せる。 石油のノウハウ再生可能エネルギー由来の電力を使用して生産し、その過程でCO2を排出しないグリーン水素は、脱炭素社会実現に重要な役割を担うとされる。各国ではグリーン水素への転換を目指したさまざまな施策が進行。スペイン・カタルーニャ州も欧州におけるグリーン水素の供給拠点を目指している。 同州の海の玄関となる港湾都市タラゴナは、石油化学産業の拠点として発展。こうした歴史的経緯を踏まえ、パイプラインを活用した欧州各国へのグリーン水素配給を視野に入れる。手始めに2035年ご
スペイン・バスク州政府は7月12~13日、日本企業を対象とした水素ミッションを実施。在欧日系企業16社などを含む31人が参加した。同州は従来、エネルギーや鉄鋼、自動車・造船・航空宇宙、機械などの重工業が盛んで、製造業が州経済に占める割合は23.4%(2021年)と、スペイン全体(16.9%)よりも高い。既存産業を再生可能エネルギーなど新産業に適応させてきたことが製造業の維持強化に奏功したとされる。 同州が官民で進める「バスク水素回廊(BH2C)」は、グリーン水素の生産、輸送・貯蔵、産業・モビリティー利用にまたがる46のプロジェクトを実施。主導企業の石油大手レプソルは生産したグリーン水素を産業利用する実証事業を進めており、傘下のペトロノールの精製所(ビルバオ市郊外)に2.5メガワット(MW)の電解槽を設置し、グリーン水素を生産している。ペトロノールのエネルギー移行事業部門アルバ・エミッション
スペイン政府は6月28日、2050年までのカーボン・ニュートラル(炭素中立)達成に向けた2030年の中間目標を定めた「国家エネルギー・気候計画(PNIEC)2021-2030」の改定案を公表した(注)。PNIECは、2030年までの部門別エネルギー政策および投資の指針となるものだ。 同計画が採択された2021年3月以降(2021年8月30日付地域・分析レポート参照)、EUレベルで気候変動対策パッケージ「Fit for 55」が策定され、移行目標がより強化された。ウクライナ情勢によってエネルギー安全保障をめぐる状況が大きく変わり、ロシア産化石燃料依存からの早期脱却計画「リパワーEU」が推進された。また、近年の再生可能エネルギー(再エネ)発電投資ブームにより、スペインでは再エネ発電設備の導入が極めて好調となっている。改定案にはこうした変化が織り込まれ、目標が大幅に上方修正された。2030年目標
オランダのロッテルダム港湾局とスペインの総合石油会社セプサ(Cepsa)は10月11日、欧州の主要港の2つであるロッテルダム港とスペインのアルへシラス港間のグリーン水素サプライチェーンに関する覚書(MOU)を締結したと発表した(プレスリリース)。 同覚書で両者は、欧州の北部と南部を結ぶ初のグリーン水素回廊の設置に向けて協力することに合意。当該ルートは2027年までに稼働予定としている。 セプサはアルへシラス港近郊のサンロケ・エネルギーパークで生産した水素を、アンモニアやメタノールなどの水素キャリアを介してロッテルダム港へ輸送することを見込んでいる。 ロッテルダム港は欧州で最も重要なエネルギー港の1つで、欧州のエネルギー需要の13%を処理している。また、アルヘシラス港はスペインで1位、欧州で4位の港で、欧州とアジアの間の重要な貿易港の1つだ。 セプサのマーティン・ウェスラー最高経営責任者(C
双日は、このたび、フランスの石油製品関連基地会社の Rubis Terminal Infra SAS(以下「ルビスターミナル」)、スペインのインフラ投資関連会社 Reganosa Asset Investment (以下「レガノサ」)(※)と、欧州でのグリーン水素のサプライチェーン構築事業を共同で調査するためのMOU(以下「本覚書」)を締結しました。 スペインは太陽光発電、風力発電のポテンシャルが高く、総発電量に占める再生可能エネルギー発電量の割合が30%を超えており、グリーン水素の生産・供給地として期待されています。 その中でも、レガノサがLNG受入基地を運営しているスペイン北西部・ガリシア州は、北西ヨーロッパの主要港(アムステルダムやロッテルダム、アントワープなど)へのアクセスにおいて地理的優位性を有していることから、グリーン水素製造・輸出拠点の最適地の一つと考えています。 レガノサは
スペイン電力大手イベルドローラ(ティッカーシンボル:IBE)は8月9日、英国最大級のコンテナ港であるフェリクストウ港の脱炭素化に向け、1.7億ユーロ(約230億円)を投じて大規模グリーン水素プラントを建設すると発表した(*1)。2026年に稼働を開始する予定だ。 グリーン水素は電解槽を用い、再生可能エネルギー由来の電気により、水を水素と酸素に分解して製造する。同プラントの初期段階の年間生産能力は1.4万トン。港で利用される最大1,300台のグリーン水素駆動のトラックと、港まで物資を運ぶ列車向けに再生可能エネルギー由来水素を供給する。さらに、グリーンアンモニアもしくはエタノールも生産し、船舶向けに供給を模索するほか、海外市場へ輸出する機会の創出も図る。 イベルドローラの英国子会社であるスコティッシュ・パワーと港湾事業に投資する事業信託の香港ハチソン・ポート(HPHT)が共同で、ブラウンフィー
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