Social Constructionism in Sociology of Emotion *本稿は,1995年に恒星社厚生閣から刊行された,船津衛,宝月誠編の『シンボリック相互作用論の世界』の17章「構成主義の感情論」に加筆修正を施したホームページ用ヴァージョンである。なお、本稿の改訂版である「社会構築主義と感情の社会学」が、『社会問題の社会学−構築主義アプローチの新展開』(世界思想社,1999年)の第5章に収録されている。 1.構築主義と感情の社会学 社会学が感情 emotion (注1)を「発見」したのは,1970年代後半のことである。もちろん,社会学者がそれまで,感情について考てこなかったというわけではない。周知のように,ウェーバーはその行為類型の一つに感情的行為を挙げたし(ただしこれは各種の合理的行為の残余カテゴリーのような扱いではあったが),デュルケムは集合的な道徳感情をその