直角というのは人間が手で作るのは難しい。必ず何かしらの道具が必要だ。三角定規だとか、水準器なんかだ。それなのに、杉といえば、かなり地面に対して垂直だし、杉の木同士は平行だ。凄く不気味というか、不思議なものだ。子供の頃に杉の木の林をはじめて見た時は、あんまり真っ直ぐでびっくりした。両親に、どうしてあの木はあんなに真っ直ぐなのか、ということを聞いたものだ。そのとき両親は、「杉の木はそういうものなのだ」と言った。なんというごまかしなのだろう、きっと父さんも母さんも、本当のことを知らないに違いない、ごまかしているのだ、そう思ったけれど、現時点で僕もそれと同じことしか知らない。杉はそういうものなのだ。 実は、写真が杉なのかどうか知らない。たぶん杉。かなり垂直だし平行だから杉でいいんじゃないかな。 大人になってからは、杉も不思議なのだけれど、電柱もなんだか変に思えてきた。だってあんなにもたくさん地面か