8 1/2章で書かれた国書刊行会の歴史 第一章 創世記 1970年代初め、とある印刷会社が考えた。下請け仕事ばかりではつまらない、オレたちもひとつ出版をやってみようじゃないか。編集のノウハウはないが、復刻本なら需要さえ外さなければいい。第一弾は『玉葉』と『明月記』。明治時代に古典籍の翻刻・頒布を行なった会員制の出版団体「国書刊行会」が刊行した平安・鎌倉時代の貴族の日記である。どうせなら、というので社名も一緒に拝借してしまったのがそもそもの始まり(後にこれが様々な誤解を生むことになる)。 第二章 複製技術時代の国書 海外文学やオカルト本でしかこの会社を知らない読者は、国書刊行会という社名に違和感をおぼえるかもしれない。だが、創業当初の『万葉集難訓考』『蝦夷語集録』『近世風俗見聞集』『日本天台史』『浦上切支丹史』『益軒全集』……といったラインナップはまさに「国書」のイメージそのもの。日本史・東