2025年大阪・関西万博の海外パビリオン建設遅れが表面化して1年余り。「万博の華」と言われるタイプA(参加国が自らデザインして建てる)は当初60カ国が見込まれていたが、簡易型への変更や撤退が相次ぎ、47カ国42棟になる見通しだと先月報じられた。 各国の国内事情や世界的な資材・建設費の高騰も一因だが、会場が大阪湾の人工島「夢洲」であることが工事を難しくしている大きな要因だと、一級建築士・建築エコノミストの森山高至氏は指摘する。ただでさえ地盤や工事条件に制約が生じるところへ、アクセスルート不足やインフラ未整備、さらに今春から始まった残業規制強化が拍車をかけているという。 そんな中、唯一着々と進んでいるのが木造リングの建設だ。「多様でありながら、ひとつ」というコンセプトを持つこの巨大建築物は、万博工事現場にどんな影響を及ぼしているのか。森山氏が執筆した『大阪・関西万博「失敗」の本質』(ちくま新書