さー日食だ、とか言って観察用眼鏡を買おうとしたら、amazonは既に売り切れであった。亭主が渋谷に行って探したが、ハンズもビッグカメラも売り切れであった。悲しんでいると、厚紙を使って観察キットを作ってくれたので、わくわくしながら三時に寝た。 ところが、睡眠時間五時間でぱっちり起きたのに、太陽なんかどこにあるんだという曇天であった。再び悲しんでいると、亭主がNHKの日食中継を見つけて来てくれた。ところが、その番組が、だ。 何考えてる、NHK。太陽が今や刻々と欠けつつある、という時に、スタジオの楽しいトークなんか映すなよ。屋久島撮影班、暗くなってきました、墨絵みたいです、と屋久杉の根元にたたずむ奴が何故か声を潜めていると言うのに(実際、その瞬間までは暗かった)、高感度カメラに切り替えるんじゃない——こっちは真っ暗になるのが見たいんだよ。結局、一番素晴らしいのは硫黄島の海岸にたたずむ先生とその周