「3Dプリンターでは、おもちゃのようなものしか作れない」。そんな批判の声は、もはや時代遅れなものだと断言したい。実用にかなう品質を実現するエンジニアリングと、微に入り細をうがつ美意識の徹底。その両軸を武器に、自らを “デザインファブリケーションスタジオ”と称す「積彩」は、3Dプリンターで極彩色の造形物を生み出し続けている。 花瓶や器、壁画から大型のベンチまで、積彩の作品は主にFFF(Fused Filament Fabrication=熱融解積層)方式の3Dプリンターで、複数のフィラメント(3Dプリンター用樹脂材料)やペレットを巧みに扱うことで制作されている。学会などの場で発表された作品は、SNSを通じて多くの人の目に触れ、旧来の「単色でチープなもの」という3Dプリント品へのイメージを塗り替えていく。 積彩の代表を務めるのは、デザイナーの大日方伸(おびなた・しん)氏。大学でデジタルファブリ