認知科学を専門とする今井むつみ(1958-)が、子どもの発達とりわけ子どもの言語習得の過程に関する研究を参照しながら、あるべき「学習の型」を考察する。2016年。 □ 「主体的で自律的な学習」の在り方について考えさせられた。 「学習」とは、外から与えられる新たな知識を単に記憶に貯蔵していくだけの「一方向的な量的蓄積の過程」なのではなく、①新たな知識を自分で発見し、②既存の知識を通して新たな知識に対して主体的に意味を付与し、③既存の諸知識が予め相互に関係づけられて配置されているシステムの内部に新たな知識を位置づけ、④新たな知識が既存の知識のシステムと矛盾する場合はその整合性を保つためにシステムに必要な変更を施し、⑤知識のシステムをより精緻で豊穣なものにしていくことでさらに新たな知識を発見し創造していこうとする、「自己反省的な質的変容の過程」であるといえる。最終的な目的が予め措定されていない弁
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