安部公房の作品の中に「公然の秘密」というものがあるが、どうやら沖縄の米軍基地移転を巡る問題はこれに似ている気がする。 誰もが気が付いているのに見て見ぬふり、というか、できれば気づきたくなかった、みたいな人間の不条理さをあらわしたような作品であったように記憶するが、基地問題と符合する点がいくつかある。 県内移転、県外移転、国外移転、一部分散、訓練移転・・・与野党が繰り広げる各論がそれぞれ共に正論のように思えるのは、抑止力という名の下に、米軍との安全保障をこの先日本がどう捉えるのか、ということを保留した上であることを忘れてはならない。 「沖縄に泣いて貰う」ことでこれまでこの問題を回避してきたのは事実である。 沖縄基地移転が民意であれば、県外（つまり全国都道府県での）受け入れも民意であるはずで、またこれを拒否したいのも民意であるから、正解は永遠に見つからない。関空への米軍基地受け入れ発言なんかも
