神奈川と東京の都県境を流れる多摩川で、アユなど在来種の生態への影響が懸念されている肉食外来魚でブラックバスの一種「コクチバス」が急激に増えていることが、多摩川の生態系を継続調査している専門家の指摘で分かった。数十万匹が生息していると推測される上、有効な駆除策がなく、「多摩川の歴史が変わるといっても過言ではない一大事」と在来種への影響に危機感を募らせている。 川崎市多摩区在住で、約30年前から多摩川の環境調査などを続けている淡水魚研究家(51)は2007年9月、コクチバスを初めて確認。「ブラックバスは釣り人に人気があり、上流で何者かが放流したのでは」と推測する。コクチバスは今年に入って急増。投網を使った7月5日の調査では、直径約6メートルの網に約100匹の稚魚を確認した。稚魚の胃の内容物を確かめたところ、ハゼやモツゴが見つかった。 研究家は「昨年秋から大きな増水がなかったため、大増殖した