そもそも配給とはどういう仕事なのか。 店主の稲垣紀子さんは「ひと言でいえば、買ってきた映画を映画館に上映してもらうお仕事です」という。 上映してもらうために、集客や宣伝などあらゆる広報活動を請け負う。それを素人の個人がやらなくてはならない。そのためにはインパクトの強いタイトルが必要だ。そこで稲垣さんたちがまず手を付けたのは、なんと……。 「思い切ってタイトルを変えちゃったんです」 原題は『世界はリズムで満ちている』だったが、パッションあふれる映画の内容そのままに『響け!情熱のムリダンガム』と命名した。ムリダンガムとは、作中で重要な役割を果たす南インドの伝統的な打楽器のこと。 「情熱、って入れちゃったんですけど、配給を情熱かけてやろうって、自分たちを鼓舞するところもありましたよね」(紀子さん) さらにポスターやチラシといった宣材を制作するのも配給の大きな仕事のひとつ。プロのデザイナーに依頼し
