出版業界は本が売れなくなっても、本に関する情報を売ることができる。それこそが出版業が情報産業であるあかしである。 私は十数年来それを主張してきて、いよいよその確信を強めつつある。 出版業はありとあらゆるものを対象にしテーマにして、本をつくり雑誌を出している。だからどういう本がどのように作られ、どういう雑誌がどこでどのように売られ、どれだけの数のどのような人に読まれたか、あるいは読まれなかったかという情報に大きな価値がある。 出版業界だけではなく、ファッション業界もクルマ業界も食品業界もそれこそありとあらゆる業界にとって“役に立つ”情報がそこにある。政府や自治体などにしても、狭義の世論動向調査に留まらず、政策決定過程を左右する重要な情報もそこにある。 IT産業の急速な発達によって、各方面のニーズに合った高度な出版情報データが迅速かつ大量に処理され、供給されるようになった。逆にいうと、情報の利