ようやく読了。いまさら私ごときがあれこれ言うのもはばかられるほどの名著だ。 刊行以来6年、多くの人たちが本書を読み、書評を寄せてきたであろうから、いちいち屋上屋をかさねるようなまねはやめておこう。ただ精読すべし、といえば足りる。 あ、そうそう。ひとつだけいいですか?(なんかコロンボみたいだな) 本書が強く注意をうながすのは、「政策レジーム転換」の重要性だ。政策レジームとは何か。トーマス・サージェントによれば、「政策当局が経済状態の関数として繰り返し選択するためのルールの体系」のことだ。私流に噛みくだいていえば、政府はこれこれこういう「お約束」にしたがって経済政策を行ないますよ、という枠組みのことだろう。 昭和恐慌では、金本位制という「お約束」が最大のレジームだった。日本が金本位制から離脱することがまずレジーム転換の第1段階であり、さらに日銀による国債引き受けが第2段階になった。この2段階の