この錯視画像は、2010年に私と共同研究者の新井しのぶが考案した「浮遊錯視生成技術」を使って作成しました。 この技術は、視覚から得た情報を人間の脳が処理する仕組みを数式で表した数理モデルを基にしたもの。この技術を応用してコンピュータを使えば、好きな画像を「動いて見える錯視」に変えることができます。 今回は、絵が浮遊して見える錯視画像の生成技術と、その周辺領域を探訪していきましょう。 「静止画」が動いて見える! 静止画が動いて見える錯視画像は、古くからいくつかのタイプが知られています。私たちの技術で作る浮遊錯視と違う点もありますが、代表的な例を二つ紹介しましょう。まずは横長の長方形と、縦長の長方形から成り立つ「オオウチ錯視」です。 取りあえず画像をやや斜め上、斜め下に動かしてみましょう。