生活保護をめぐっては、暴力団組員らが身分を偽り、保護費を不正受給する詐欺事件が相次いできた。このため、各地の福祉事務所は、申請の際に不審な点があった場合、警察当局に照会。暴力団関係者と判明すれば、申請を断るといった運用がなされている。 しかし、申請の際に覚醒剤などの薬物常習者かどうかを見極めるのは容易ではない。 厚生労働省の担当者は「違法薬物に関する照会は指示していない」と明かし、警察庁幹部も「過去に薬物事件について問い合わせがあったというのは聞いたことがない」と話す。 福祉事務所が申請を断ったり、保護費の支給を打ち切るには、資産や収入を隠しているなど、支給の要件に反する実態が判明しなければならない。申請者が覚醒剤などの薬物事件に絡んでいたとしても、摘発されていなければ、支給が止まることはない。 そこが、公的資金の一部が暴力団に流れる温床となっている。 困窮状態にあるのに生活保護の申請をた