東京電力ホールディングスは建設を中断している東通原子力発電所(青森県)について中部電力などとの共同で事業化し、運営に取り組む方針を固めた。地元との調整や建設、運営、保守までを一貫して担う新会社を両社と日立製作所、東芝の4社で設立する調整に入った。東電も中部電も稼働する原発がない厳しい状況のため、異例の共同体制で事業を継続する。4社は2018年8月から原子力事業を巡る提携を協議しており、その具体
東京電力が進めている福島第一原子力発電所の事故を巡る未解明の問題の検証作業で、放射性物質の大量放出が起きたとみられている2号機では、格納容器の破損を防ぐ「ベント」と呼ばれる操作が実際はできていなかった可能性が高まったことが、現場の放射線量の調査で新たに分かりました。 2号機では、この直前、内部の圧力が限界に達していた格納容器の破損を防ごうと、「ベント」と呼ばれる操作で水蒸気や放射性物質を外に放出しようとしましたが、圧力は下がりませんでした。 この原因を調べるため、東京電力が、ベントによって水蒸気や放射性物質が通るはずの装置の周辺の汚染を調べた結果、この装置の前後の配管では高い放射線量は検出されなかったことが分かりました。 この結果は、実際には2号機でベントができていなかった可能性が高まったことを示していて、現場の状況によって裏付けられたのは今回が初めてです。 ベントができずに圧力が下がらな
福島第一原発事故後に施行された原発の新しい規制基準で必要になった追加の安全対策費が大手電力九社で少なくとも総額二兆三千七百億円を上回る見通しであることが本紙の調べで分かった。経済産業省が二〇一三年秋に公表した調査結果は約一兆六千五百億円で、一年半の間に四割、金額にして七千億円増加していた。各社によると、まだ試算すらできていない原発もあり、費用はさらに膨らみそうだ。 安全対策費の一部は既に原発維持に必要な経費として電気料金に上乗せされ、企業や家庭が負担。対策費の増加は原発の発電コストを押し上げる要因になり、経済性を理由に再稼働を目指す政府や電力業界の主張が揺らぐことにもなる。
東京電力は、福島第一原子力発電所1号機の廃炉に向けて、建屋に散乱しているがれきを撤去して核燃料を取り出すため、15日から建屋を覆うカバーの解体に向けた作業を始めます。放射性物質の飛散を防ぎながら、作業を進められるかが課題になります。 東京電力は、このカバーを取り外し、がれきを撤去したうえで核燃料を取り出す計画で、15日からカバーの解体に向けた作業を始めることにしています。 作業は15日から1週間ほどかけて、遠隔操作のクレーンでカバーの内側のがれきに放射性物質を含む粉じんの飛散を防ぐ薬剤をまいたあと、1年余りかけてカバーの解体を進める計画です。 東京電力は、今回の本格解体に先だって、去年試験的にカバーを解体し、その際は放射性物質は飛び散らなかったとしていて、今回の作業に当たっても放射線量などの監視を強化するとしています。 1号機の建屋カバーの解体は、当初は去年7月に計画されていましたが、おと
東京電力福島第一原子力発電所で昨年度、死亡したり、けがをしたりした作業員は64人と、前の年度から倍増したことが分かりました。 経験が浅い作業員が大半を占めることから、東京電力は訓練施設を設けるなどして状況を改善したいとしています。 前の年度は死者1人を含めて32人だったことから、死傷者などの数は1年で倍増したことになります。 この中には、作業員がタンクから転落して死亡したケースや、機械に手や足を挟まれてけがをしたケースなどが含まれていて、特に福島第一原発での作業経験が1年未満の人が47人と、全体の7割以上を占めているということです。 福島第一原発では、汚染水タンクの増設などで昨年度は作業員の人数が1日当たりおよそ7000人と、前の年度の倍以上に増えていて、東京電力は、経験の浅い作業員が増えたことが死傷者の増加の背景にあると分析しています。 そのうえで、防護マスクをしたり何重にも手袋を着けた
福島第一原発の汚染水が海に流出していたことを東京電力が公表していなかった問題で、東電の廃炉責任者は26日、流出元になった排水路の放射性物質の測定データについて随時報告を受けていたことを明らかにした。昨年8月には平時の10倍以上の高濃度を記録したが、公表すべきものとは「思わなかった」という。 東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏プレジデントが、高木陽介経済産業副大臣を訪ねてデータの非公表を陳謝。その後、報道陣の取材に応じた。 東電は昨冬、この排水路の濃度が高いと原子力規制委員会に報告、改善を求められた。このため昨年4月から定期的な測定を始め、雨のたびに濃度が高まることを把握しながら公表していなかった。増田氏は、住民の心情への想像力不足を認めた上で、排水の濃度は「(改善の効果を測る)データとしての感覚しかなかった」と話した。
政府は二十五日、東京電力福島第一原発事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員会が関係者から当時の状況を聞いた「聴取結果書(調書)」のうち、新たに百二十七人分を公開した。九月と十一月に続く三回目で、公開された調書は計二百二人分となった。 当時の規制機関だった経済産業省原子力安全・保安院の小林勝・耐震安全審査室長の調書によると、東北地方太平洋岸で大きな被害を出した貞観(じょうがん)地震津波(八六九年)と同規模の地震発生の危険性について、二〇〇九年ごろから内部でも問題になっていた。独立行政法人「産業技術総合研究所」の岡村行信活断層・地震研究センター長は、貞観地震が福島第一周辺を襲った痕跡を指摘。自らの調書では「四百~八百年周期で反復していると考えている」と述べた。 岡村氏らの指摘を受け、小林室長らは貞観津波の再来リスクを検討するよう保安院幹部に提案したが、複数の幹部から一〇年に「あまり関わるとクビ
東京電力福島第一原発至近の海で、本紙は放射能汚染の状況を調べ、専用港の出入り口などで海水に溶けた状態の放射性セシウムを検出した。事故発生当初よりは格段に低い濃度だが、外洋への汚染が続く状況がはっきりした。一方、東電は精度の低い海水測定をしていながら、「検出せず」を強調する。事故当事者としての責任を果たしているのかどうか疑問がある。 (大野孝志、山川剛史) 本紙は十月二十日、地元漁船をチャーターし、独協医科大学の木村真三准教授(放射線衛生学)と合同で原発周辺五カ所の海水と海底土(砂)を採取。後日、同大の高性能のゲルマニウム半導体検出器を使い、それぞれ二十四時間、八時間かけ計測した。海水はろ過し、ちりなどに付着したセシウムは除去した。 結果は図の通りで、水、砂とも港の出入り口が最も濃度が高く、ここから拡散していることがうかがえる。注目されるのは、同地点の海水から一リットル当たり一・〇七ベクレル
東京電力は21日、福島第一原発の地下水くみ上げ用井戸の一つで、藻のような生物が繁殖し、くみ上げの邪魔をしている可能性が高い、と発表した。すでにくみ上げを停止し、今後、生物の分析や設備の清掃などを行うという。 東電は、地下水が原子炉建屋などに流れ込んで汚染水を増やすのを抑えるため、原子炉建屋の山側の井戸で地下水をくみ上げ、地下水バイパスと呼ばれる設備で海に放出している。 生物が繁殖しているのは12本の井戸のうち、ナンバー11と呼ばれる井戸。9月中旬ごろから、くみ上げポンプ内の水の流れが悪くなっていたという。 くみ上げた水を調べると粘りけ… こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 こちらは有料会員限定記事です。有料
政府事故調査委員会ヒアリング記録の開示について 平成26年9月11日 東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(政府事故調査委員会)のヒアリング記録については、そのヒアリングにご協力いただいた方々を対象に、ヒアリング記録の開示に関する意向確認へのご協力を個別にお願いするとともに、内閣官房のホームページにおいてもご協力を呼び掛けているところです。 これまで、意向確認へのご協力をいただいている方々には、ご自身のヒアリング記録を閲覧して不開示希望部分の確認作業等をしていただいています。さらに、それに加えて、個人情報、第三者の権利・利益、国の安全等に係る部分についても、不開示することとして処理(黒塗り処理)を行っています。これらの作業を終えて、現時点までに公開準備が整ったヒアリング記録について、公開いたします。今後とも引き続き、開示の意向確認等の作業を継続し、準備が整ったものから順次
政府は9月11日、福島第一原発事故当時、所長だった吉田昌郎氏に当時の状況を聞いた、いわゆる「吉田調書」を内閣官房ホームページで公開した。政府が公開したテキスト埋め込みがされていないPDFファイルを、機械読み取りでテキストデータ化した。部分的に不正確な箇所もあるため、元の書類も合わせてご覧頂きたい。 Cranes operate at Unit 3, center, standing next to Unit 4, right, at Tokyo Electric Power Co.'s (Tepco) Fukushima Dai-ichi nuclear power plant in Okuma, Fukushima Prefecture, Japan, on Wednesday, July 9, 2014. All of Japan's 48 operable commercial re
昨夕(9/11)、朝日新聞社の社長が「吉田調書」と従軍慰安婦報道に関する「謝罪」の記者会見を行い、テレビ朝日の『報道ステーション』が朝日新聞の慰安婦報道の「検証」を長々とやっていた。そして今朝(9/12)の朝日1面記事には、「吉田調書『命令違反し撤退』報道 本社、記事取り消し謝罪」なる記事がデカデカと出ていた。 http://www.asahi.com/articles/ASG9C7344G9CULZU00P.html 吉田調書「命令違反」報道、記事取り消し謝罪 朝日新聞 ■慰安婦巡る記事、撤回遅れも謝罪 朝日新聞社の木村伊量(ただかず)社長は11日、記者会見を開き、東京電力福島第一原発事故の政府事故調査・検証委員会が作成した、吉田昌郎(まさお)所長(昨年7月死去)に対する「聴取結果書」(吉田調書)について、5月20日付朝刊で報じた記事を取り消し、読者と東京電力の関係者に謝罪した。杉浦信之
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