2011年3月11日に発生した東日本大震災。被災地には、当たり前ですがたくさんの子どもたちがいました。彼らは彼らなりの感覚で、「あの日」を記憶しています。 そして震災から数年後、「あの日」の記憶を語り始めた3人の子どもがいました。 当時、津波で大きな被害を受けた宮城県東松島市の小学5年生だった雁部那由多(がんべ・なゆた)さん、津田穂乃果(つだ・ほのか)さん、相澤朱音(あいざわ・あかね)さん。 彼らは中学3年生の時から「語り部」の活動を始めたのです。 そして2016年。3人の話は『16歳の語り部』という1冊の本になります。 大人でさえまともに受け止めることの難しかった「あの日」のこと。例えば雁部さんは、こんな風に綴っています。 息も切れぎれに図書室に戻ると、同じクラスの友だちと合流できました。ふと奥のほうに目をやると、体育館から移動してきた人たちが窓のところに集まって、口々に何かを言いながら