仕事関係の打ち合わせが終わると、多くの場合、後は雑談となる。ある時、ハードワークでうつ病を患うビジネスマンが多いという話題から、たまたま自殺の話になった。すると打ち合わせの相手の言うことには「多いんですよ、自殺。私の知人でもいますし。たいていの場合、誰か一人は知った人が自殺していますよ」。 あなたには、自殺した知人がいるだろうか。私にはいる。中学からの親友が32歳で自ら命を絶った。長くうつを病み、少し回復したと思ったら、踏切から列車に飛び込んでしまったのだ。 こういう死に方は、後に残された者に傷を残す。私は10年以上が経った今も、心のどこかでは彼が死んだとは信じられないでいる。囲碁を好んだ彼が、まだどこかでいつもの物静かな笑いを浮かべながら、ぱちんぱちんと碁石を置いているような気がする。 「自殺した友人」は私の専有物ではない。何しろ日本は世界でもかなり上位に位置する自殺大国だ。