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ソフトバンクが10年ぶりにGalaxy端末(「Galaxy S25」「Galaxy S25 Ultra」)の取り扱いを再開したことが話題を呼んでいる。大きなカブを引っこ抜こうとしているテレビCMなどで目にした方も多いだろう。
今回のニュースの注目ポイントは「Galaxyの取り扱いの復活」だけではない。「Samsung Galaxy S25」が、月額3円という破格の価格設定で入手できるという点だ。もちろん「条件付き」ではあるが、最新のハイエンド機種がこの破格で提供されるのは驚きだ。そこで、ソフトバンクへの取材に基づき、
・月額3円のカラクリ
・他社端末と比較したときにオトクといえるのか
・ソフトバンクがGalaxyを10年ぶりに扱う背景
の3点に注目し掘り下げてみたい。
月額3円のカラクリ
まずは最も注目されている価格面から整理していこう。月額3円を実現するには、「新トクするサポート(プレミアム)」が適用される必要がある。これにはまずGalaxy S25を48回払いで購入しないといけない。そして「月額3円」の恩恵が受けられる期間は1〜12カ月目。13カ月目以降は料金は上がる。13〜48カ月目は月額3607円だ。
・1〜12カ月目:月額3円
・13〜48カ月目:月額3607円
満期まで支払えばトータルで12万9852円。一方、Samsungのオンラインショップでは約12万9000円(256GB)で発売されているので、満期まで払うのであればお得感はない。だが、前述した「新トクするサポート(プレミアム)」を活用する場合、13カ月目に端末をソフトバンクに下取りに出せば、残りの分割支払金の支払いが不要になるのだ。一定の条件を満たす必要はあるが、13カ月目に端末を下取りに出せば、「1〜12カ月目は月額3円」となる。もっとも、その13カ月目以降の支払いが「不要」になるためには、下記のような条件が存在する。
・特典の利用申込
13カ月目に「早トクオプション」(利用料2万2000円)を申し込み、翌月末までに回収・査定を完了すること
・あんしん保証パックネクストの加入
購入時から特典利用申込が完了するまで、1190円/月の「あんしん保証パックネクスト」に加入すること
つまり、月額3円といっても実際には都合3万7506円は必要になる。もちろん、ここには通信料金(プラン代)などは含まれていない。これが月額3円のカラクリだ。
実は、ソフトバンクは2024年に発売した「Google Pixel 9」や「iPhone 16」でも同様のプランを提供している。「最新のハイスペックスマホが月額3円」というのはソフトバンクではお馴染みといえる。
このプランについて考える時には、もう一つの視点が見逃せない。それが今回の対象端末が「Samsung Galaxy S25」であるということだ。「スマホの機能にはこだわらず、何よりも安さ重視」という人には、この月額3円のキャンペーンは向いていない。しかし、「最新AI機能を搭載したハイエンド機種に1年間触れ、しかもその負担額が約3万7000円」という見方をすれば、決して高額ではない。
Galaxy S25のスペックと機能「次世代AIを搭載したフラッグシップモデル」
では、今回の主役であるSamsungのGalaxy S25は、どんなスペックを持った端末なのか。ソフトバンクはいう。
「手に取りやすい価格で最新AI機能を使用いただける点がおトクです」
実際にハイエンドらしい魅力が詰まっている。例えば、プロセッサに「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」が搭載されている。これにより前モデルと比較して、NPU性能が40%、CPU性能37%、GPU性能が30%向上。カメラの進化もすさまじく、従来の約1200万画素から約5000万画素へと大幅に進化。超高解像度の撮影を実現できる。このあたりの、スペック的な進化はさすがSamsungが手掛けるハイエンド機種。旧モデルを使っている人でも、その進化が体感できるはずだ。
そして、特筆すべきはSamsung独自の高性能AI「Galaxy AI」の存在だ。この機能がさらに進化した。具体的には、複数のアプリをまたいだ連携がシンプルにできるようになっている。例えば「応援しているスポーツチームの試合日程を調べてカレンダーに登録」と指示するだけで、複数の操作をまとめて実行することができる。他にも「YouTubeの動画を自動要約してメモアプリに転送」「検索した情報をSNSでシェア」など、人間が指示するだけで複数アプリをまたいだ処理が可能になっている。
従来の生成AI(ChatGPTなど)はウェブ上のチャット対話が基本だったが、Galaxy S25ではスマホ本体の機能と統合されたかたちで使えるのが強みだ。
10年ぶりのGalaxy取り扱い再開、ソフトバンクの背景と狙い
なぜ、ソフトバンクはこのタイミングで10年ぶりにGalaxy端末を取り扱うことになったのか。同社は次のように説明する。
「『世界で最もAIを活用するグループになる』というSBのビジョンと、モバイル市場でAIをリードするSamsungのAIを推進して行くという両社の思いが一致したため」
実際、ソフトバンクグループはAI領域に莫大な投資を行っている。直近では「ChatGPT」を開発するOpenAIと共同で新会社「SB OpenAI Japan」を設立すると発表。また、高い精度を持つAI検索サービス「Perplexity(パープレキシティ)」と提携して、ソフトバンクユーザー向けにPerplexity Proを1年間0円で提供するなど、AIとの親和性を高める施策を積極的に進めている。
こうした動きが示すのは、単に「端末を売りたい」のではなく、最新のAI機能をユーザーに「まずは体感してもらう」ための環境を整備したいという狙いだ。ハイエンドスマホを破格の費用感で提供し、それを使ってもらうことで「ソフトバンク×AI」という図式を急速に浸透させる狙いがあると言えるだろう。
もちろん、Galaxyの人気にあやかりたいという思惑もあるだろう。GalaxyはAndroidスマホではトップクラスに人気のシリーズ。競合他社は取り扱っているので、GalaxyユーザーやSamsungファンを取りこぼしてしまう機会損失になってしまう。
グループを挙げてAIのビジネスや活用に乗り出しているソフトバンクとしては、AI時代の到来を見据え、最新機種を実質格安で普及させることで「AI活用を当たり前にしたい」という狙いがあるはずだ。その点においてGalaxy S25は、多くのユーザーにとって「AIの入口」としてピッタリではないだろうか。
結局「Galaxy S25をソフトバンクで買う」のはオトクなのか
結論を言えば、「とにかく激安でスマホを持ちたい」という方には、この「月額3円」のキャンペーンは向いていない。実際には数万円の支払いが発生するからだ。しかし、「月額3円には裏がある」と簡単に切り捨ててしまうのは早計だ。1年間の利用を想定した場合、約3.7万円程度で最新AI機能を搭載した超ハイスペックスマホを体験できるのは、非常に魅力的になる。「最新ハイエンド端末の性能を1年間じっくり試したい人」や「Androidのフラッグシップ機を下取り前提で短期的に利用したい人」には、おすすめできるだろう。
さらに、今後のハイエンドなスマホの進化は、AI技術の発展と密接に関わっていくことになる。これまでのCPUやカメラの性能などがマイナーにアップデートされるのとは異なり、AIを軸とした機能進化になっていくだろう。すると、最新スマホと型落ちスマホでは、スペックだけでなく、AI活用の幅に大きな差が生じる可能性が高くなるはずだ。さらに、端末価格も上昇、あるいは高止まりが続くだろう。
このような状況下で、常に最新のスマホを使い続けることは、経済的な負担が大きくなっていく。しかし、このキャンペーンを利用すれば、コストを抑えながら最新技術の恩恵を受けることができる。「最新のスマホを常に使いたいが、価格は抑えたい」という人にとって、有力な選択肢となる。
発売日は2月14日。月額3円というキャッチーな言葉だけに惑わされず、実質的な負担額と、ハイエンドスマホの性能や、最新のAI機能に触れるメリットを考え、自分にとって最適な選択をしてみてほしい。
(文=加藤純平/ライター)