パロマ事故、系列業者が不正改造 社長説明と食い違い
製造会社と修理会社というと例のエレベーター事件を思い起こさせるが、メンテナンス部門を資本提携のない別会社に仕立てておくと、万が一の時の保険になるようである。お役所が仕事を天下り先の特殊法人にやらせるのとあい通じるものがある。
元々日本は責任の所在が曖昧になりやすい体質があったが、最近は特にひどくなった観がある。
(記事)
パロマ工業(名古屋市)製のガス瞬間湯沸かし器で一酸化炭素中毒事故が相次ぎ、85年以降15人が死亡した問題で、親会社のパロマが事故原因だと主張する安全装置の不正改造を、87年ごろ同社系列の修理業者が行っていたことがわかった。小林弘明社長は14日の記者会見で、「下請けも含めてパロマでは不正改造はしていない」と説明していた。
この不正改造は、92年に札幌市で起きたパロマ工業製湯沸かし器による死亡事故を巡る損害賠償請求訴訟で、過去の同種事案を指摘する中でとりあげられた。
02年2月の札幌高裁判決によると、不正改造を行っていたのはパロマ製品の修理や販売を手がける「パロマサービスショップ」の従業員の一人。北海道苫小牧市周辺を担当区域として受け持っていた。
判決によると、苫小牧市のアパートで87年1月、パロマ工業製の湯沸かし器で一酸化炭素中毒事故が発生。2人が死亡、3人が軽症を負った。この事故を受けてパロマが独自に調査を始めたところ、事故と同種の不正改造を、この従業員が行っていたことが判明した。
判決では、パロマはこの従業員の修理伝票から顧客を調べ、不正改造が施された湯沸かし器を点検したという。88年には「事故が発生すれば責任を問われる」として、不正改造の禁止を全国の営業所に通達した。従業員が行っていた不正改造は、湯沸かし器の動作を制御する装置に配線を追加する方法で、安全装置が働かないようにしていたという。
パロマによると、排気ファンが止まったままでも運転が可能になるため、室内に一酸化炭素が充満する恐れが強いという。
パロマの伊藤美樹夫・総務部長は「パロマサービスショップと直接の資本関係はないが、知らないところが勝手にやったとは言えない。今後どう対応するかは社内で検討したい」と話している。